2018年5月7日、賛否両論がわきおこるなか、全国のひきこもり当事者ネットワークとして、NPO法人「Node(ノード)」が設立され、東京・霞が関の厚生労働省において記者会見がおこなわれた。
本誌は、記者会見の一部始終を<前篇><後篇>の二回に分けてお伝えする。編集は最小限に留め、できるだけ記者会見の臨場感をそのまま読者の皆さまに伝えることに主眼を置いた。文中、敬称略。
佐藤啓:まず、NPO法人Nodeの副代表理事である、林からお話をさせていただきます。
林恭子:私はNPO 法人Nodeの副代表理事の林恭子と申します。私は、神奈川でひきこもり・不登校の活動をして参りまして、Node神奈川に関わっています。私自身も不登校とひきこもりを経験して来ました。どうぞよろしくお願いいたします。
森下徹:兵庫県で「グローバルシップス神戸」という当事者・経験者の活動をして参りました、森下と申します。役割としては、理事と事務局の方をさせていただいております。
割田大悟:Nodeの理事の割田と申します。神奈川で、いま現在「ひきこもり当事者グループひき桜 in 横浜」という当事者団体を運営しております。今回、Nodeに関わることが出来まして、こちらとしても嬉しく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
川初真吾:私は東京で「ひきこもりフューチャーセッションIORI」という、当事者の方を中心にした、100人規模が集まる対話の場を作っております。 こうした当事者の方が安心して声を上げることが出来る場を作ることができればと思い、また、運営している当事者と繋がる形が取れれば、非常に嬉しく思います。
佐藤:私はNodeで事務局を務めております。元々は「フロンティアリンク」という株式会社を経営していて、その後去年の12月に、ひきこもり当事者たちが集まった日本で初めての株式会社、「ウチらめっちゃ細かいんで」というものを立ち上げました。その関係でひきこもりの方々と、色々させていただいております。今回のNode立ち上げにつきましては、いろいろと私もお手伝いさせていただき、事務局をさせていただいております。
下山洋雄:青森の代表をしております、下山と申します。ひきこもり経験者になります。
Nodeの概要
林:今日は代表理事を務めております田中(敦)が札幌におりまして、どうしても仕事でこちらには来られないということで、大変申し訳ありません。今日はWebで参加する予定だったのですが、ちょっとWebでも来ていないようですので、私のほうからNodeについてご説明させていただきます。
NPO 法人Nodeは4月19日に設立されました。北は北海道から、南はいまのところ四国までの、それぞれのひきこもり経験者、当事者たちで構成されております。
それぞれのメンバーが地元で活動してきたのですが、それが全国のネットワークとして繋がるのは今回、日本で初めてです。これまでは親の会や家族会はあったのですが、当事者が全国で繋がるものは今回が初めてです。
繋がりで生きづらさを分かち合うということが一番最初に書いてありますが、この「Node」というのは「繋ぎ目」という意味です。
林:ひきこもりや不登校もそうですけれど、本当に一人ぼっちで、みんな孤立している。特に地方ではそれが顕著である、ということがあります。当事者・経験者はもちろん、家族、支援者の方、地域の方など、たくさんの方の繋ぎ目になることを目指して、活動して行きたいと思っております。
ただ、ひきこもりと一口に言いましても、そこまでに至る経緯や、ひきこもっている状態、そういう思いは本当に多種多様で、100人いれば100通りあると言われておりますので、私たちは、「こういった形が良いんだ」とか、「こういった方向に導いていきたい」とか、そういう事はありません。それぞれの人が、それぞれの良いと思う生き方が出来るようにサポートして行くことが大事だと思っております。
Nodeの目的は、多様性を認めながら持続的な社会の発展に寄与することです。また、事業や啓発を今後行っていきます。最近でも、地方で精神障害を抱えているひきこもりの方が、それを抱え込んで、何十年も外に知られなかったという事件がありました。実際に「ひきこもり」は、地方ではまだまだ本当に偏見や差別が多くて、ひきこもりの親の会を作っても、自分の家にひきこもっている子供がいることが分かってしまうから、親がそこに出てこられない。それで、そもそも家族会が成立しない、という状態です。
もちろんご本人も、この世で一番、自分がダメな人間だと思っていて、自分を責めています。ひきこもりという言葉についてしまった非常にネガティブなイメージ。甘えとか怠けとか。実際はそうでは無く、本当にとても真面目に生きることを考えている人たちが、孤立して苦しんでいるということも、本当にたくさんの人に知っていただきたいと思っております。私たちが全国組織で繋がっていることで、これまでより出来るのではないかと思っております。
同じような意味で、政策提言もおこなってまいりたいと思います。
記者会見配布資料P3
Node設立までの「経緯」
・2015年9月
関西・四国のひきこもり経験者有志数名で任意団体Node結成
・2016年3月
大阪市で「つなぐ。むすぶ。広げる。当事者研究大会#1」を開催
・2018年2月
全国の経験者有志10数名で特定非営利活動法人Nodeの設立を確認、設立総会を開催
・2018年4月
東京都から認証、法人登記
林:お配りした資料の3ページにある設立までの経緯ですが、まず2015年9月、ここにいる森下も入っていますが、関西や四国で、ひきこもり経験者たちの任意団体が立ち上がりました。
その後、2016年3月には当事者100人余りが全国から集まって「当事者研究大会」という物を行いました。こちらは私も参加しているんですが、この後の「当事者大会」という物が豊中市にあったんですけど、ここで私自身も、全国で実際に活動している当事者がいて、そういった人たちと直接会う機会がありまして、こういう人たちと一緒に何かをやれたらいいなと思いました。
その後、2018年に入ってから、今はSNSなどもありますので、そこで少しづつ繋がっていた当事者同士が集まって、今回のNodeを設立することになったという経緯があります。
それから現在の役員メンバーの紹介ですが、現在は北海道から香川まで。今後、まだまだ他の地域にも、当事者活動をしている方たちがいますので、声をかけて、さらに入っていただけたらと思っております。
実はこの場に、地方から参加できなかった香川のメンバーがおりまして、香川でひきこもり当事者団体のhito.tocoをやっている宮武(将大)からメッセージがありますので、ここで読み上げたいと思います。
宮武:香川県でひきこもり支援に携わって、5年余り。全国各地で魂を削りながら、誰かのために、そして自分のためにも、頑張ってきた人たちの思いを形にできないかと思ってきました。それが今回、Nodeという形で、全国の人たちと新しい繋がりが出来たことを、本当に嬉しく思っております。
林:これからのNodeについては資料の6ページ以降になりますが、いま事業内容として計画しているのが、まずインターネットや広報誌などによる情報提供。それから相談業務に関連して「ひきペディア」というものを考えております。
自助会の価値
林:私たちのメンバーは、多くが自助グループを各地で開催しております。この自助グループというのは、相談窓口などより、もっと手前の所で、まずは同じ経験をした人たちと出会い、そこで自分の思いを語ったり聞いてもらえる。話すことができる、そういう場がとても重要です。その重要さというのは、行政とか民間団体や、ひきこもり支援をする人たちからは、あまり認められて来なかったんですね。
でも、実際に当事者たちが自助会などを始めると、とてもたくさんの、どこにも相談に行ったことがない人たちが来ています。自助会という物は、これからもっと広がって行かなくてはいけないと思っておりますので、そのためにもNodeがあるのではないかと考えております。
講演やワークショップについては、これも後ほどお伝えしますが、5月19日にまず1回目の講演会を予定しております。
林:そして社会的孤立、貧困、多様な働き方に関する研究調査及び、政策・施策の提言について。これまで約20年間、「ひきこもり」と言われる物に対して、国や行政、民間団体の支援はありました。しかしそれは、ほとんどが就労支援だったんですね。それは私たち当事者から見ると、ほぼ上手く行かなかったと思っております。
そこにたどり着く人も、ごくわずかですし、かりにたどり着いて就職したとしても、多くの人がその後にすぐ辞めています。それは就労支援というものが、当事者にとっては非常にハードルの高いことだからなんですね。私も実際に現在、いま関わっている「ひきこもりUX会議」という団体で、「ひきこもり女子会」という、女性のひきこもりの集まる場所をやっておりますが、そこに来る方々の多くは、そこにたどり着くまでに、まず外出をする練習をしたとか、知っていたけれども、4、5回目になって、初めて来られたとか、今回の会場まではたどり着けませんでしたとか、他人との会話は何十年もしていなかったので、会話をする練習をしたいとか、そういう風に、就労支援より、もっともっと手前で、まず人のいる場所に行くということ、そこに2、3時間居続けることの練習をすることが重要になります。
それから、洋服を買いに行きたいけれども、店で声をかけられるのは怖いので行けないとか、誰か一緒に付いてきて欲しいとか、それからこれは男女問わずですが、美容院に行ったり、歯医者に行ったりする事が出来ないので、付きそってくれる人が欲しいという人が、たくさんいます。
これまであった支援というものが当事者の思いに沿っていない。求められている物と違ったからこそ、上手く行かなかったと思っております。
今後、私たちは、当事者たちが何を思い、何を必要としているのかを、きちんと把握した上で、それに基づいて支援を構築してほしいと思っております。そうした提案も出来たらいいと思っております。
そして自治体や民間企業などの各種事業ですね。それから具体的な活動として、ひきペディアというのが、後ろは見にくいかもしれませんけれども今日公開です。ひきこもりに関するポータルサイトですね。当事者会、医療、公的機関など、親御さんや支援者も、このサイトを見ていただければ、ご自身が住んでいる場所の近くで、ひきこもり関係の物があるという情報が見られるという物にしていきたいと思っております。現時点でも、かなりの情報が載っているんですけれども、これからもさらに増やして行きたいと思っております。
なかなか、不登校やひきこもりになった方の親御さんなどが「ひきこもり」と検索して、上位の方に出てくるのが、例えば暴力的支援団体と言われるものであったり、非常に高額なお金を取って就労支援をする物がたくさん出てきます。
そうではなくて、やはり少なくとも当事者の人たちを傷つけるものではない物を載せていきたいと思っておりますが、それに関しては、実際に行かれる方かどう判断するか、いう話であります。けれども、安心できる情報を載せていけたらと思います。
林:配布資料の7ページにありますように、今月の19日に、立ち上げ記念のイベントを行います。これは仕事・働くということがテーマになっています。第一部では精神科医の斎藤環さんと、ジャーナリストの池上正樹さんの対談を行い、第二部では、私たち、ひきこもり当事者・経験者と、私たちのような人たちを実際に雇用している企業ががあります。佐藤啓さんの「ウチらめっちゃ細かいんで」のような。そういう企業と、私たちとのパネルディスカッションを行います。
私たちはこういうことを思っているけれども、会社の人はどの程度、そういうことをコーディネートしてくれるのかという質問や、雇用者の側からの質問であったり、まずは働きたいと考えている人達に、働く場をつなげる事になったら良いなと。お互い、まずは理解を深めましょうというイベントを行います。
もちろん、ひきこもり当事者・経験者の方、ご家族の方など、来ていただける方ももちろんなんですけれども、今回は関心のある企業の経営者や担当者の方にもご参加いただきたいと思っています。
それから最後になりますが、今後の活動予定です。これは本当に計画中なんですが、いつかということは決まっていないんですけれども、まず相談窓口の開設と、現在も行っているオンライン当事者会。外に出られない当事者を、オンラインで繋いで始まる当事者会ですね。
また、当事者たちが自分たちで支え合うピアサポート。最近ますます聴かれるようになりましたが、今日来ていただいている、理事の割田さんのピアサポーターについての講座も、今年で3年目。そうした事も出来ますので、いろいろご要望もお伺いできればと思います。後は、当事者・経験者の要望に合った物。せっかく理事たちが全国に散らばっておりますので、その地域で、多くのイベントを行えたらと思っております。私の方からは以上です。
佐藤:ひきペディアですが、少し画面が小さいので、資料に載っているアドレスを使って、よかったら皆さんのお手元で見ていただけたらと思います。ひきこもりに関するQ&Aとか、自助会などの情報を網羅しております。現在も新たな情報を集めている最中ですので、これは皆さんにぜひ知っていただきたいとか、こんな情報を欲しいという物があったら、是非ともお願いしたいと思います。
予想される人数規模
共同通信:どなたか代表してお答えいただければと思いますが、今回のNode設立による、当事者会ネットワークの繋がりについて、各地の当事者会に参加される方の、概算の合計として、だいたい何人ぐらいがNodeに繋がることが出来るのか、その規模を知りたいのですが。
森下:その辺は分からないのが実状だと思います。
佐藤:現在分かっている団体の数と、集めているデータから考えると、恐らく1000人ぐらいですかね。Nodeメンバーの運営する居場所に関わっている人の数として。
林:それぞれの団体に関わっているメンバーの総計ですか?
共同通信: いいえ、今回は当事者ネットワークという事なので、そのネットワークからNodeにアクセスできる人たちですね。
林:そういう事でしたら、1000人ぐらいです。
じつは高すぎる?
ひきこもりのコミュニケーション能力。
共同通信:もう一点、主に発信したい情報について、いま林さんにご説明いただいたとおり、いろいろな生きづらさもありますが、「ひきこもり」というものを、それほど意識していない人たちに知っていただきたい、と強調しておられました。それについてぜひ話したいことがありましたら。
森下:自分もひきこもった経験がありますが、その時は、自分だけがこういうひきこもった生活をしているのかと思うものです。また、他にそういう人たちいるのは知識としては知っていたのですが、繋がりがなくて。
川初:そういう仲間がいる事を、まずは知って欲しいし、情報を知ってほしいです。Nodeで、それを繋げて行けたらと思っています。そして同じ経験を持っている人同士でも、例えばイベントの会場に入れなかったりとか、大変な事はあります。
また一様に、ひきこもり当事者が弱者だとか、意思が弱いとか、そういうものではないと思っています。
最近SNS 上でちょっとこういうことが話題になっています。……ひきこもりはコミュニケーション能力が低いと思われていて、「コミュ障」などとも云われている。自分たちでもそう思い込んでいる部分があったりする。でも、実はコミュニケーション能力が低いんじゃなくて、コミュニケーション感度が高すぎるから、ひきこもっているのかもしれない。……そういうふうに、視点を変える必要があるかな、と。そのぐらい感度が高すぎて、要はオーバースペックなんですね。
上手くそれを出せなかったりして、色々な問題があって、人から遠ざかってしまう。その繊細さとかを裏返すと、いろいろなことができるのでは。佐藤啓さんの、プログラミングに活かせる資質を持ってる人が多いんじゃないか?…そういう視点とか。
メディアで今、取り上げられている、その向こう側にある可能性とかポテンシャルというものを、我々はもうちょっと強調したいと思います。
地方のひきこもりの現実
朝日新聞:そもそも外に出て来られない人などについて教えていただきたいと思っております。
森下:例えば地方に来ると情報も少なくなるし、特に淡路島のような所だと、閉鎖的だったりして、また交通費もかかるような場所もあり、そこでは自助会とか支援機関も少ない。それも全国ネットワークが出来る事によって、今まで支援が行き届かなかった所にも届くのではないかと思っております。また支援機関が無かったりとか、情報が無いことで繋がれなかったりすると思うので、まずは情報を出せるメディアを作って、繋がる機会が出来たら良いなと。
林:昨年、私たちの「ひきこもり女子会」の全国キャラバンで、全国を回ったんですが、一番言われたのが、「地方には何も無いんです」ということです。不登校支援の問題でも、それが相談できる場所も居場所も無く、女子会なんて無いし、どこに行ったら良いかなんて分からない、とおっしゃった方もいます。もともと相談窓口自体も、民間団体もあまり無いので、当事者たちが動けるような場も少ない。
そういった相談できる場所として伝える場も、実際に無いということだと思います。下山さん、青森の状況などはどうでしょうか。
下山:青森もやっぱり声がかけられない状況ですし、居場所も少ないです。どこにどういう物があるのか、どういう当事者がいるのか、知らない当事者が多いです。やっぱりご本人だけでは無く、役所や行政も、当事者会の情報を持っていない状況があります。
林:あと今後考えたい事で、いま当事者に対する「生活困窮者支援」という物はありますが、国の支援の問題とか、ハードルの高さについて。
割田:神奈川県の現状として、公的機関の支援が充実していると言われていますが、実際には支援対象が39歳までということがほとんどになっております。つまり、40歳を越えると居場所に行くことも難しくなるし、公的機関に相談を受けることを難しくなる。そういった現状が、神奈川だけではなく、他の一部の県でも見られます。年齢による、ある種の差別ですよね。40を超えた途端に支援が受けられなくなる。そういった所が、非常に今の政策の問題点だと思っております。
中高年のひきこもり問題
林: もう一つ、付け加えさせていただきますと、 内閣府が行っている引きこもりの調査が39歳までなんですね。でも、いろんな自治体が新たに始めた調査では、40代以上が6割を越えています。それから女性のひきこもりに対する調査では、主婦と家事手伝いは、ひきこもりから排除されているんですね。しかし実際に、私たちが昨年「女性のひきこもりの実態調査」という報告書を作りましたが、そこでは25%が主婦だと出たんですね。そういった人たちも、ちゃんと調査に入れてほしいし、伝えたいと思っております。先ほども言いましたが、就労支援では無い、もっと手前の支援を、と思っております。
森下:兵庫県の場合なんですが、県のサイトに情報が無いし、県も情報を持っていないので出せないのです。どうしたら、そうなってしまう仕組みを無くして行けるか。兵庫県が意識していく感じで、その他、そこに当事者経験者からの、こういう物をやってほしいという意見がなかなか入りづらいし、兵庫県の中でもネットワークがあるんですけれども、そこに、なかなか個人が入れなかったんです。しかし「グローバルシップス神戸」という形で法人を作ることで、少しずつ繋がりができてきました。なので、こうやってNodeも法人化した事で、声を伝えて行ければと思っております。私自身の思いですが。
下山: 青森県は、まだ実態調査がされていません。今まで、ずっと行ってきてはいるんですけれども、その手法はやっぱり内閣府の動向に従っていて、中心地の事例に追従する形に止まって、調査の手法が分からないまま今日に至っている現状なので、現状を把握するにはまだ時間がかかると思います。
林:内閣府の調査の中では、実際のひきこもり当事者の答えは60人ぐらいなんですよ。KHJ全国ひきこもり家族会連合会が、家族向けにやっている調査でも、当事者の声は100人ぐらいなんですね。私たちは昨年「女性のひきこもりの実態調査」をした時に、369名の女性たちに協力いただきました。これは私たちが当事者団体だったから、当事者の人たちが答えてくれたと思うんです。調査する時にも、私たちのような当事者団体が行うとか、協力するという形でやってほしいと思います。
NHK: 冒頭の説明であった、全国で初めての当事者ネットワークという話について、かつてはKHJ家族会などの全国組織がありましたが、当事者団体として全国初ということなのですか?
林:そうです。ひきこもり当事者団体のネットワークは初めてですし、法人としても初めてです。
NHK:皆様は当事者なのでしょうか。
林:はい、基本的に当事者ですし、かつての当事者です。
フリー記者:すいません。これは後でサイトを見れば分かると思うんですが、このサイトにアクセスすると、窓口の方につながるということですね。
林:そうです。
北海道新聞:ひきこもり当事者の方の数は、全体的に増加傾向にあるのか、またそうであれば、その背景についてお願いします。
林:実は内閣府の調査では、ひきこもり当事者は、最新の調査では54万人で、その前が70万人。減ったと言われたんですけれども、それは前の調査から5年経って、35歳だった人が40歳にスライドしただけの話で、全然減ったわけではないんですね。
むしろ、もしかしたら倍以上、40代以上のひきこもりの人がいるかも知れないと言われていて、専門家からは100〜200万はいるだろうと言われています。実際の現場も分かっていないのが正直な所ですね。
森下:私もKHJに関わっているのですが、その調査も家族会だけだし、厚生労働省の物も、サンプリングした調査です。39歳までの調査は内閣府だったのですが、今のところ小さな部分は分からないというのが正直なところですね。自治体でやっている所もありますが、なかなか調査自体が出来ていないです。
・・・NPO法人Node設立記者会見 全文<後篇>へつづく
<後篇>では、いよいよ私たち「ひきポス」の記者が質問に立ちます。