ひきポス -ひきこもりとは何か。当事者達の声を発信-

『ひきポス』は、ひきこもり当事者、経験者の声を発信する情報発信メディア。ひきこもりや、生きづらさ問題を当事者目線で取り上げます。当事者、経験者、ご家族、支援者の方々へ、生きるヒントになるような記事をお届けしていきます。

2018年ふり返り 喜久井ヤシンの自選記事まとめ

 執筆者 喜久井ヤシン(きくい やしん)
1987年東京生まれ。8歳頃から学校へ行かなくなり、中学の三年間は同世代との交流をせずに過ごした。20代半ばまで、断続的な「ひきこもり」状態を経験。『ひきポス』では当事者手記の他に、カルチャー関連の記事も執筆。個人ブログ http://kikui-y.hatenablog.com/

 

2018年ふり返り 執筆者の一人 喜久井ヤシンより

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 年の瀬の、寒さ厳しい季節を迎えています。平成と名のつく最後の一年が過ぎていき、年が移り変わろうとしています。昨年12月にスタートした『ひきポス』は、開設一周年となりました。元々『ひきポス』の名前の由来は、オンラインメディアの『ハフィントンポスト』をもじって、「ヒキントンポスト」だったそうです。私としては、「ひきこもり・生きづらさ当事者の声を届けるポスト」なので『ひきポス』だ、と何となく考えています。

 無料のWEB版だけでなく、有料の冊子版も、2018年は第4号まで発刊することができました。(もっとも、私は事務的なことは何もやっていません。)私は編集長の石崎さんから声をかけていただいき、今年の2月頃から当事者手記の他、エンタメの記事や小説まで出させていただきました。

 今回は、2018年に書いた記事から、いくつかを自選しようかと思います。だいたいこのようなものを書いていた、という一年のふり返りでもあれば、最低限人が読んでも耐えられるのではないかと思われる、オススメ記事の紹介でもあります。ご参考までに。

 

 【当事者手記】から

www.hikipos.info

 私は十年のあいだ、ほとんど人とふれあわない生活をしてきました。その時期に、毎日の苦しみとなっていたのが「食」のことです。食べることの難しさが、親子関係などにも及んでいることについて書いた一本です。

 

www.hikipos.info  5月におこなわれたプライドパレードのレポートとともに、「ひきこもり」で「ゲイ」である自身の体験について書いています。大きな事件や劇的な出来事ではなく、日常の小さな棘が、生きづらさを強めることをテーマにしました。文芸的で、読みやすくはない書き方となっています。

 

 

【カルチャー記事】から

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  タイトルのとおり、中島みゆきの曲について語っています。カルチャー記事に対する反響としては、「生きづら漫画」や「絶望映画」の方がありました。しかしこれだけ個人的な興味と事実を書いて発表したというのは、私の小さな人生において、画期的なことでした。(なお検索したところ、私のカルチャー記事の三分の一に、「中島みゆき」という単語が含まれています。普通こういう割合にははならないだろうだろうなと思います。)

 

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 「生きづらさ」をテーマに、オススメの漫画・グラフィックノベルを紹介した記事です。自分に慰めを与えてくれた作品ばかりで、どれも思い入れがあります。なお記事でピックアップした『しまなみ誰そ彼』は、今年の7月に第4巻が出て完結。最終巻も素晴らしい作品となっており、感動的でした。

 

【小説】から

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 編集長の勧めで書き始めた、連作の小説が「遊べなかった子」となります。1コマ漫画的な挿絵もご覧いただければと思います。短編の読み切りのつもりで書いていますが、1話から15話まではすべて一対一での関係が描かれ、複数の人物が登場するのは16話以降となっています。小説的な展開を期待する方は、1話からでなく、16話から読むのが良いかと思われます。

 

おまけ 冊子版から

hikipos.thebase.in

  ご購入者のみとなってしまいますが、冊子版の『ひきポス』第2号に、「社会に出ていくよりも、逃げること」の題で掲載されています。(本文では「逃げる」という言い方をしていません。)「ひきこもり」に対して、支援者は進むこと、変化していくことを推奨します。しかしそれらのメッセージがむしろ害になる場合があり、大切なのは反対に進める「逆櫓の構え(さかろのかまえ)」ではないか、といったことを書きました。WEBの継続もしやすくなりますので、もし奇特な方がいらっしゃいましたら、ご購入いただけるとさいわいです……。

 

 

 ※なお、上部などにあるタグやカテゴリー(「当事者手記」「ワケあり女子」など)をクリックしていただくと、それぞれのジャンル別に記事が表示されます。

 また、検索バー(PCでご覧の方は右側に表示)もあるので、気になる単語で探すこともできます。(たとえば「中島みゆき」で検索すると、私の記事だけ出てきます。)

 

 それではよいお年を……などと軽々しく言えないほどに、暗く寂しい気分もあります。せめて『ひきポス』をご覧の方が、憂い少ない次の年を過ごせればと、小さく願っています。

                        2018年12月30日 喜久井ヤシン 

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