ひきこもりと文学
(文 喜久井伸哉) 今回は、林真理子著『小説8050』を取り上げる。本作は2021年に出版され、10万部を超えるベストセラーを記録した。アマゾンのサイトでは、レビュー数1595個、星4.2(24年10月現在)の高評価を獲得。文庫版は24年4月に出版され、ドラマ化や…
ひきこもりという概念に逆説と諧謔、挑発と自虐をもってさまざまな角度から斬りかかる知的冒険。古今東西の書物の中から、こんにち私たちが「ひきこもり」と呼んでいる現象の背景にあるものを拾い集め検討する。
昨年、「引きこもり文学大賞」が創設された。立ち上げたのは、元ひきこもりで現在精神科医の東徹(ひがしとおる)氏。文学とひきこもりの親和性の高さに着目してこの文学賞を作った。ひきこもりを社会に適応させるという従来のアプローチではなく、その状態…
先行きの見えない不安。いつ果てるとも知れない閉塞感。…… そのような時期こそ「ひきこもり」の先人に習おう。いま昭和の文豪、谷崎潤一郎から学べることとは。