ぼそっと池井多:名人が本の中に書いておられた言葉で、
私が非常に印象に残っているのが、
「人生八十年、働いている場合ですか」
というものなんですね。
ひきこもり名人勝山実:そんなヒマはない、ってことですよ。
そんなヒマはないから、こんなところで、こんな映像を撮っているわけです。
働いていたら、こんなことできないでしょ。
誰に頼まれたわけでもない、一円にもならない映像収録をせっせとやることなんぞ、働いていたらできない。
なのに、それを一所懸命、持てる力をぜんぶ使って作っているわけです。
これが労働者諸君にできるか、って言ったら、できないですよ。
われわれがやっていることは、そういうことじゃないんだ、と。
自分がやりたいことをやる。
自分が価値あると思うことをやる。
それを、堂々と、堂々とやったらいいんじゃないか。
ぼそっと池井多:ここで名人が
「人生八十年、働いている場合ですか」
という時の「八十年」とは、
「こんなに短いんだよ」
という時間としての八十年ですか、それとも
「こんなに長いんだよ」
という……
ひきこもり名人:これは仏陀と同じ年齢ということです。
仏陀が八十年生きたので、だいたいこれくらいだろう、と。
仏陀はもともと王子だったんですけど、まあ非常に身体の弱い人だったらしい。それでも八十年も生きたということで。
あと、日本では男性の平均寿命が79.7歳ぐらいですか。
だから、そういう意味もこめて八十年。
と、いろいろな理屈をこねて、こうしているんですね。
……。
……。
・・・「ひきこもり名人となった私(3)」へつづく