(文・湊 うさみん)
家族は仲良くしなくていい。
テレビでは「家族の絆」が強調され、学校では「だいすきなおかあさん」といったテーマで作文が書かされる。世の中は、家族は仲良くすべきだいう価値観を押し付けてきます。
でもね、仲良くできないケースが絶対あるんですよ。
陰口になっちゃうのであんまり詳細には書きませんが、私の家族はハッキリ言って「怖い」です。
父親はものすごく短気で、掃除機の音がうるさいとブチ切れる。掃除をしなかったらそれはそれで怒り出す。自分が正しいか間違っているかは関係なく、むかついたら怒鳴りだすのです。
兄はそういう父親からのストレスを私で発散してたのか、台所ですれ違っただけで「邪魔だ」と蹴飛ばしてくる。ケンカで勝てるわけないので泣かされることはしょっちゅう。
話をすることすらできない「怪物」のような存在が家に二人いるんです。子どもの頃はぬいぐるみだけが家族といった感じでしたね。
普通ならば関わり合いになりたくないような相手とは距離を取って縁を遠ざけるものですが、家族が相手だとそれができません。相性の悪い相手と深く関わらないといけないのです。
これっていじめの構図を同じだと思います。
学校だと攻撃的で厄介な連中と同じ室内で閉じ込められて、その結果、いじめに発展します。それと同じで、顔も見たくない人と家の中に閉じ込められる。こんなの頭おかしくなります。
最近では「逃げろ」とよく言われますが、学校から逃げて不登校になって自分を責めることになりますし、家から逃げたらホームレスになりますし、逃げるのも難しいです。
そういう「安心」「安全」が常に脅かされる家庭で育った私は、歪んだ人間になりました。人の目を見て話すことができないし、ひそひそ声が自分の悪口に聞こえるし、自傷のイメージが毎日勝手に浮かんでくるし、家族と話すことすら怖いし。
普通の人間とはかけ離れてしまったから、ひきこもりニートになったのかもしれません。うつ病ですし、チックもあるし、人格障害ですし、ストレスのせいか耳管開放症になりましたし、アダルトチルドレンですし。何重苦なのやら。精神的ヘレンケラーですよもう。
幼い頃の発育環境って大人になってからも影響しますから、私がこうなってる原因の一部は家族にあるんじゃないでしょうか。そう考えると仲良くしようという気がなくなるんです。
仲良くしたい気持ちはあるんですが、「怪物」と意思疎通なんてできませんしね。
ちなみに。父親は生活費を稼いだから役割は果たしたと思っているのか、私の心や体調の心配などせず、ただ「働け」と言うのみ。
同じ家に住んではいますが年に1回まともに会話するかどうかです。兄はすでに家を出ているので幼い頃よりかは家庭環境はマシになってます。
幼少期の環境の影響って大きいから、今ひきこもりやニートになっている人は、少なからず親を恨んでいるんじゃないでしょうか。きちんと発達心理学を勉強して育ててくれたなら、自分の人生はもっとマシになったのに、と。
そういう人たちに向けて声を大にして言いたいのは、家族とは仲良くする必要はないですよ、ということです。うまく自立できたならさっさと縁を切っちゃってもいいんじゃないでしょうか。
「子供は親を選んで生まれてくる」などと言いますが、虐待やネグレクトされた子供にそれを言うのは残酷すぎます。子どもは親を選べないし、同時に親は子供を選べません。
まあ、こんなことを書く私でもアニメの「CLANNAD」を見て泣くんですけどね。