地元の福祉法人のお祭りがあったので参加した。
福祉法人からブースを貸していただいた。ひきポスを売ってもいいとのこと。ありがてぇありがてぇ。
こういうイベントには、政治家の方々が顔を出す確率が高い。ロビー活動のチャンス! こちらから向こうに会いに行くのはハードルが高い。待っているだけなのは、ひきこもりには嬉しい。
そして、獲物を狙うハンターのごとく息をひそめていた。
やっぱりNHKに出たのは大きい。今までは「ひきポス?」という反応だったのが、「クローズアップ現代やハートネットで取り上げられたんですか~。すごい!」という反応に変わった。
心理学用語でいうところのハロー効果ってやつだ。
福祉法人のお祭りとはいえ、ひきこもりと名がついたイベントではない。こういう場で売るのってけっこうきつい。アウェイという感じ。
ひきこもりVS百戦錬磨の政治家
入間市長である、田中龍夫市長がやってきた。入間市議(4期)、埼玉県議(5期)、そして入間市長(2期目)の政治家だ。
「田中市長、おはようございます。ひきこもりが作っている当事者雑誌です。NHKにも取り上げていただきました。ひきこもり支援をよろしくおねがいします」と僕
「へえ~。そういえば、この前ニュースで書道家の武田双雲さんが取り上げられていたなあ」と市長。
武田双雲さんは自分がADHDの可能性があると公表している。ただ、ひきこもっていたのかはわからないが……。
ひきこもり支援、よろしく頼むで市長。
横田淳一議員がやってきた。彼は、入間市議会の議長だ。ひきこもり支援をよろしくと伝えたところ、「おう!」とロックに応えてくれた。なんかハウンド・ドッグの大友康平に似ていた。
松本義明議員がやってきた。25歳という最年少で初当選。現在2期目で福祉常任委員会に所属。ピンポイントだぜ。ひきこもり支援でライバルの市議に差をつけましょうと囁いておいた。ただ、圧倒的な票数で当選しているのでライバルがいないっぽい……。
別の祭りで創刊号を買ったこともおぼえていただいており、今回2~4号を買ってひきポスをコンプリートしてくれた。ありがてぇありがてぇ。
ひきこもりと精神医療のはざま
精神科で働いていたという高齢者の方に声をかけられた。
「この前のNHKのテレビ、見たわよ。精神医療というと汚い、怖い、そういうイメージばかりだったのにあなたみたいな人が出てきたのかと感激した。時代が変わってきたんだなと思ったわよ」と涙を流して言ってくれた。
その方がイメージしている昔の精神医療とひきこもりとは厳密にはちがうと思う。ただ、いろんな偏見の目にさらされることもあるところなど重なる多い点もたしかだ。上手くそのことを伝えられなかった。
だけど、僕が選挙に出たりテレビに出たことで精神障害者やその関係で働いていた方に少しでも勇気を与えられたのだとしたら、これほどの喜びはない。
ひきこもりは世界的な成長産業
前回の選挙から1年半がもう過ぎた。ひきこもり当事者の感覚として、地元のひきこもり支援が進んだようには見えない。もう20年前から変わっていない。
次回の選挙までにひきこもり支援の具体的な動きが見られなかったら、僕がまた立候補しなきゃならないじゃないか。それは勘弁したいな。僕より優秀で健康な人たちは星の数ほどいるのになぜかずっと評論家のポジションでいたがる。どちらがひきこもりなんだろうか。
ひきこもり支援において、日本で一番になるということは世界で一番になるということと同義だ。これからひきこもり問題が顕在化するであろう、先進諸国にそのノウハウを売って外貨を稼げるチャンスじゃないか。
目立った産業がない地方自治体はこの好機を逃すのはもったいないと思うよ、マジで。
※議員は公人でこういうイベントの写真であれば載せても大丈夫だと思いましたが、念のために写真掲載の許可をいただきました。ありがとうございます。
執筆・写真 さとう学
(Twitter:@buriko555 )
1977年生まれ。 小学生のときに不登校。中学で特殊学級に通うものの普通学級への編入をうながされて再び不登校。定時制高校に進学するが中退してひきこもる。
大学を一年で中退してしばらくひきこもる。障害者枠で働き始めるがパワハラをうけてひきこもる。2017年にひきこもり支援を訴えて市議選に立候補。落選して再びひきこもる。