(文・湊 うさみん)
エジソンは失敗した時、「失敗ではない。うまくいかないやり方を見つけたのだ」と失敗をポジティブに捉えていたそうです。
エジソンに限らず、大量に失敗したおかげで大きな成功を掴んだ人はたくさんいます。
こうなると、「たくさん失敗するべき」と考えがちですが、ちょっと待ってください。ネガティブな人間がたくさん失敗したらどうなるか。そこを少し考えてみてほしいのです。
失敗を次に活かしたら自殺することになった
私は就職活動で90社落ちました。何も考えずにただ落ちていただけでなく、「履歴書の書き方を変えてみよう」「職務経歴書も変更してみるかな」と色々と試行錯誤していました。
失敗を経験として生かして、次につなげるスタンスです。ここまでは良かったんですが。
学歴も職歴もないし、資格もなし。おまけに人の目を見て話せないしでいくら試行錯誤してやり方を改善してみても、ひたすら落ちる落ちる落ちる。
こうなると心が耐えきれなくなるんです。100社ではなく90社だったのは心が堪え切れなかったからだとは別の記事で書きましたが、これは失敗を学習した結果の拒絶反応だと思うんです。
「学習性無力感」という言葉がありまして、これは何度やってもうまくいかない場合、「うまくいかないことを学習し、やらなくなる(無力になる)という現象です。
これがもろに私に当てはまっていて、ポジティブな人が失敗を繰り返す分には問題はないのでしょうが、私のようにネガティブな人が何度も何度も失敗した場合、学習性無力感に陥って「もう就職活動なんてやりたくない」という状況になってしまうんです。
また、就職できないなら小説を書いて食べていけないかと作家を志したこともありました。これもまた、落選落選落選……。3次選考(最終選考の一つ前)や編集者に名前を覚えてもらえるところまではいったのですが、出版には至りませんでした。
私の場合、長編を一作書くのに二か月程度かかるのですが、これは時給1000円で計算したら20万円ほどになります。作家さんの中には「作品は自分の子どものような存在」と言う人もいます。
それだけの重みのある自作を「つまらん。ゴミ」とシュレッダーにかけられる苦しみといったら、「脳みそに寒気を感じる」というよくわからない感覚です。
就職においても、小説においても、失敗が心と体に刻み込まれてしまった私は、自殺未遂に至ります。
小説が書けない精神状態ってどういうこと?
その後、こうやってひきポスの原稿を書いているとおり、多少は精神状態が復活してはいるのですが、小説はうまく書けません。
私は10年以上書き続けて、短編も含めると80近くもの作品があります。それらすべてが落選。そのダメージがまだ私に残ってて立ち上がることを許してくれません。
それでも無理やり小説を書いていると、このような自分の声が聞こえてきます。
「どうせ私の小説なんかつまらない」
「10年以上やって、才能がまったくないとわかったのにまだ書くの?」
「価値のない小説書く暇があるなら別のことやりなよ」
小説を書くことは、苦しくもありつつも楽しい行為のはずでした。今はもうとにかく苦しい。転びすぎたことによって走るのが怖くなった。そんな感覚です。
働くことは無理なので小説をキンドルなどで販売してちょっとでも食い扶持を稼げればいいなと考えているのですけどね……。肝心の小説が書けないのではどうしようもないです。
思い返せば、学習性無力感は就職と小説だけではありません。幼少期の人生においてもそうです。
生まれたこと自体が失敗
子どもというのは親からの承認が絶対です。親がいなくては生きてはいけないため、本能的に親に認められるために行動します。
私は昔から親に褒められることがありませんでした。テストで90点を取ったなら普通なら成功体験になるはずなのですが、「ふーん」で終わり。
親が否定的だと子どもはまったく成功体験を積むことができず、失敗、失敗、失敗ばかり。
そうしてやがて、「自分のやっていることは無意味だからやるべきではない」と学習し、それが「自分は生きている意味がない」と繋がっていきます。
私は小学生の頃から「なんで自分は生きているんだろう」とよく考える子どもでした。もちろんその答えが出るはずがありません。今もなお、「私はどうせ価値のない人間だし」と思っています。
私の人生は学習性無力感に縛られ続ける人生のようです。それはヘビのようにからみつき、心を締め付けてきます。
しくじり先生とか失敗学とか出てきて、失敗を肯定しようという風潮を感じますが、人によっては薬ではなく毒薬になります。
もしもエジソンがネガティブだったら「電話の特許をベルに取られちゃったよ。発明なんてもういやだ。あーあ自殺しようかな(´・ω・`) 」みたいになっていたと思います。
執筆者 湊うさみん
20代でドロップアウト。ニート歴10年以上のエリートニートになっちゃいました。