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苦登校~12年に及ぶ地獄の学校生活~ 中編

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(文・アラヤダおばさん)

卒業アルバム(小6)

最終学年になっても相変わらずで、とうとう1人の友達もできずに卒業した。
グループ作業や、体育のチーム分けの時の「好きな人同士」で組む場合に余ってしまい、じゃんけんで負けたチームが私を引き取るというパターンには慣れてしまっていた。迷惑そうな顔を向けられ、作業中は徹底的に無視された。
いつもそういった扱いを受けていたのだから、卒業アルバムの「仲良しグループ」での写真撮影の時に余ってしまうのは当たり前の話。にもかかわらず、グループ撮影の日、私はいつになく狼狽した。

私は女子の3つのグループのリーダー達に必死に頼んだ。お願いだから入れて欲しいと。

2つのグループには「誰がアンタなんか!」と強い口調で拒否された。最後に頼んだグループには何故か丁寧に断られた。「アルバムはずっと残るものだから。ごめんね」と言われた。その後、逃げるように校庭に走り去っていった。

この言葉のほうが傷ついた。「こんな人と友達だったの?」と思われるのがイヤだということだ。仕方なく1人で教室に残った。こうなるのだったら、あんなみっともない事をしなければ良かった、と後悔した。
校庭の楽しそうな声が、誰もいない教室にも届く。今なら大声で泣いてもわからないと思い、私は思い切り泣いた。
やがて皆がゾロゾロと戻ってきた、すぐさま泣くのを止めた。私の様子を気にかける人など誰もいなかった。担任も気付いていなかったようだ。

 

集団リンチ(中1)

経済的事情で、私立を受験出来なかったため、仕方なく地元の公立中学校に通わなくてはならなかった。その時点で楽しい青春など望むべくもない。
とにかく毎日が恐ろしかった。
小学校の6年間で憔悴しきっていた。長く続いたイジメで既にエネルギーの電源が入らなくなっていた。何に対しても興味が持てなかった。自分を奮い立たせることも出来なくなくっていた。

思春期に容姿の否定をされるのは心に相当なダメージを与える。

直接の暴言の他にも、すれ違いざまにクスクスと嘲笑されたり、軽蔑の眼差しを向けられたり。

その度に心がすり減り、ショックに耐えるエネルギーだけでヘトヘトになってしまう。将来の夢などと言われても、どこに行っても似たような目に遭うのかと思うと…

私の場合は不思議なほど体の不調が起こらなかった。腹痛も頭痛も。保健室を利用した事は殆ど無かった。

女の子達に下着を盗られた際に借りに行った時ぐらいだ。当時の保健室は悩み事を相談する場所という雰囲気はなかった。体のケガの応急処置をする場所だった。

リンチというと大勢に殴る蹴るの暴行を加えられるというイメージがある。もし「肉体的な暴力ではなく暴言だけならリンチとは言えない」というならば、私が受けた仕打ちは何と呼ばれるものなのか?

中学生になると、今まで以上に容姿を中傷されることが多くなった。
ある日、突然クラスの女子10人ほどが廊下で私をグルリと囲んだ。私は壁に押しつけられて逃げられなかった。

正面にいた子が腕組みをしながら「気持ち悪い顔をして!いつも何考えてるの?言いたいことがあればハッキリ言ったらどう‼️」と怒鳴るような口調で威嚇してきた。
私は確かに無口で陰気だったが、別に言いたい事などあったわけでもない。言い掛かりも甚だしい。彼女達は私を泣かしたかっただけなのか?それとも当時流行っていたスケ番(死語?)の真似事をしてみたかったのか?
こんな時に10人を相手に毅然とした態度で「言い掛かりはやめてよ!言いたいことなんか何にもないわよ。1人に対してこんな大人数で卑怯だと思わないの?」と言い返すことができる子はいるだろうか?日頃は勝ち気な子でも、こんな状況になったら震え上がるに違いない。
助け出してくれる人もいない。それどころか他のクラスの人達まで遠巻きに眺めながら面白そうに笑っている。
私はガタガタ震えながら泣き出した。「気持ち悪い顔、その顔何とかしろよ!」などの暴言を次々と浴びせかけられた。
しばらくすると、1人が「帰ろうか?」と言って去っていった。

別の子が鼻でフッと笑いながら「くだらねぇ…」と呟いた。くだらないことなら何故やるのか?やってみたら馬鹿馬鹿しい事に気づいたということなのか?「くだらないこと」の被害に遭った私は30年以上経った今でもあの時の恐ろしさが忘れられず、悪夢として度々登場する。

 

クラスで1番、学年総合2位

学業成績の事ではない。顔の悪さの順位である。
高校受験の数日前の、必死に勉強していないといけない時に、一部の男子の間で女の子の顔のランキングをつけていたらしい。

かわいい子を選ぶのは楽しいかもしれない(最近はこれも女性蔑視だと言われている)が、ワーストランキングなど一体何が面白いのか?

ある日、教室の黒板にベストランキングとワーストランキングの名前が全クラス分書かれており、1番かわいい女の子の顔と1番醜い私の顔が並べて描かれていた。
受験を目前に控えた中学3年生のやる事ではない。もうそれだけで頭の中身の程度が知れる。私もこんな低俗なレベルの事などで傷つきたくなかった。
私は涙をこらえながら平然を装って1人で落書きを消した。私よりも先に登校して、黒板を見た子の誰1人として消しておいてくれる子がいなかったのも悲しかった。
廊下を歩いていたら、他のクラスの男子に「E組で1番ブスな女に選ばれた奴だ」と言われて笑われた。

どうやら各クラスの審査員?が集まって選んだ大規模なコンテストだったらしい。
8クラスある学年だったので、私の他にも傷つけられた女の子が7人いたことになる。選んだ奴等は、自分の娘が同じ目に遭っても平気でいられるのだろうか?

数日後の高校受験の結果は惨憺たるものになった。ほぼ確実だと担任に言われていた学校まで落ちたのはこのせいだと私は思っているが、「そんなのは言い訳にすぎない」と誰からも言われた。(後編に続く)