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毒親ならぬ毒兄・毒弟・毒姉・毒妹もいるはず

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(文・湊 うさみん)

 

 

自分さえよければいいという毒兄


毒親という単語は浸透してきましたが、毒兄や毒姉は認知度が低いように思えます。

しかし、毒になる兄弟姉妹が存在しないわけではありません。

 

私の二歳年上の兄が毒兄でした。

 

何回か書いているので覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、私の兄は、台所ですれ違っただけで「邪魔だ」と蹴飛ばしてくる人物でした。

 

当然仲が良くなくて、お互いまったく口を利きませんでした。同じ家に住んでいるのに一切話すことがありません。

 

たまに喋ることがあるとしたら、悪口くらいなものです。私の本名をもじった悪口を常用していて、私に用があるときもその蔑称で呼びます。

 

毒兄とは、悪口の言い合いかまったく話さないかのどちらかのコミュニケーションしかしません。もしくは取っ組み合いのケンカ。

 

一番印象に残っているエピソードはゲームの占拠です。私の実家はテレビが二台あったのですが、一つは父親専用。もう一つは夜は母親が映画を見るために使われるので、ゲームをできるのは日中となります。

 

その間、毒兄はゲームをずっと占拠しています。

 

私に所有権を与えたくなくて、10時間くらいゲームをぶっ通してやるのです。さすがに同じゲームをずっと続けていたら飽きるので、ソフトを切り替えつつずっとゲーム。

 

「ゲームやらせてよ」と私が言っても無視。ごくまれに母親が「代わってあげなさい」と言うときがあったのですが、その時はしぶしぶ了承していました。でも、本当にごくまれにしか母親は注意してくれません。

 


ケンカが無言かのどちらか


転機が訪れたのは携帯型ゲーム機であるゲームボーイの発売です。今までろくにゲームできなかった反動か、私は狂ったようにプレイしていました。

 

とはいえ、お金がない子ども時代ですから、同じソフトを何度も何度もプレイしていました。基本的にコストパフォーマンスのいいRPGが中心でした。

 

それで仲の悪さが解決したわけではありません。据え置きの家庭用ゲーム機はそのままですから、相変わらず兄が占拠していました。

 

兄との関係は今思い返しても異常だと思うのですが、親は特に何も言いませんでした。

 

子供にとって親は絶対ですから「仲良くしなさい」の一言があれば何か変わってたのかもしれませんが、一度たりともそのような言葉を聞いたことはありません。

 

とにかく仲が悪かったです。

 

二歳年上となると体格差がかなりあって、ケンカをしても私は負けるばかり。子供のケンカですから爪や噛みつきで反撃してましたが、上から押さえつけられると力負けします。

 

おそらく親は親なりの考えがあったのでしょうけど、私には理解できません。ケンカするほど仲がいいとでも思ってるのでしょうか。

 

毒兄・毒姉・毒弟・毒妹は存在する


あまり聞かない「毒兄」と「毒姉」といった単語。検索をかけてみたのですが、「毒兄」が3180万件、「毒姉」が1410万件でした。

 

ちなみに「毒弟」は3140万件、「毒妹」は6680万件でした。

 

私は体格差でケンカに負けてばかりだったので、年下の毒弟や毒妹は少ないのではと思ったのですが、そうでもないようです。

 

私も毒兄に対してきっちり反撃していたので、兄のほうも毒弟だと思っていそうです。

 

同じ遺伝子を持って生まれてきた兄弟なら気が合いそうなのに、どうして仲が悪くなってしまうのでしょう。親の愛情を奪い合っている関係だからなのでしょうか。

 

毒兄との今の関係は


毒兄は今はもう実家を出て嫁さんと暮らしているので、もうケンカすることはありません。

 

正月には実家に遊びにくるのですが、普通に話をします。

 

……しかし、この「普通に話をする」状態が気持ち悪くてしょうがありません。

 

例えるなら、いじめ加害者が「昔のことは水に流そう」と言ってて、その一方で被害者はずっと根に持っているようなものです。

 

毒兄から散々受けた仕打ちは忘れてません。兄のほうは「昔のことだから別にいいじゃん」という感覚なのかもしれませんが、私にとっては思い出すだけで胸糞悪くなります。

 

兄はシステムエンジニアとして社会人をしており、私はひきこもり。

 

「憎まれっ子、世にはばかる」ということわざを思い出します。


執筆者 湊うさみん

20代でドロップアウトして自殺未遂。ニート歴10年以上のエリートニートになっちゃいました。

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