今回は、ひきこもり当事者たちが制作していた雑誌『IRIS(イリス)』をご紹介します。
『IRIS』はひきこもりや「生きづらさ」が主なテーマとなっていた同人誌です。
2003年から2006年の約3年のあいだに、12冊が刊行されました。
創刊のきっかけは、東京シューレがひきこもり当事者向けにおこなっていた「土曜サロン」と「木曜サロン」です。
定期的に会を開くなかで、参加者から「雑誌をつくりたい」という声が上がり、制作が始まりました。
紙面では、ひきこもり当事者の手記をはじめ、詩やマンガ作品、ひきこもりを持つ親の手記などが掲載されています。
「土曜サロン」や「親の会」で講演をおこなった著名人へのインタビューも掲載されており、紙面には芹沢俊介さん、田口ランディさん、平田オリザさん、保坂展人さん等、多くの識者も登場しました。
タイトルの「イリス」は、ギリシア語で「虹」を意味しているそうです。
『IRIS』紙面の様子
書誌情報
名称 IRIS
副題 生きにくさを感じている私たちからあなたへ
編集人 IRIS編集局
発行人 NPO法人東京シューレ
版型 B5版
ページ数 各号120ページ以上
定価 800円
号数/発行日
第1号 2003年4月24日(創刊号)
第2号 2003年8月22日
第3号 2003年11月21日
第4号 2004年1月30日
第5号 2004年4月20日
第6号 2004年7月30日
第7号 2004年12月10日
第8号 2004年2月20日
第9号 2005年4月20日
第10号 2005年8月20日
第11号 2005年11月30日
第12号 2006年3月31日(最終号)
目録
※筆名は現在も同名で活動している人のみを記載しています。それ以外はペンネームと思われるものであっても「当事者手記」「親の手記」としました。
創刊号 2003年4月24日
●巻頭言 IRIS創刊にあたって(編集局)
●当事者から学ぶ(奥地圭子)
●座談会「当事者が語るひきこもり」
●脱皮(当事者手記)
●殺意(当事者手記)
●拘束したって暴力はなくならない(当事者手記)
●混乱の日々(親の手記)
●渡辺位インタビュー
●創作「勝手に悩んで平和になっていく」
●ひきこもりにはプラス面もある(当事者手記)
●詩「おもしろいことと泣いちゃうこと」他
●映画『home』を観て 意見交換会
●おすすめコーナー 本と音楽
●居場所紹介 土曜サロン 木曜サロン 人の泉・オープンスペースBe!
●編集後記
●投稿規定・申込方法
※創刊号のみ国立国会図書館に所蔵されています。
第2号 2003年8月22日
●山下英三郎インタビュー 前編
●詩 「苦悩」「どしゃぶり雨」
●父からの暴力、そしてひきこもり(当事者手記)
●閉じ込められた私(当事者手記)
●詩 分校のあった場所
●「ひきこもり」と言われても(親の手記)
●詩 「雨宿りでもしていく?」
●座談会「ひきこもりと人間関係」
●詩 「長く深い森」「そこは大きな街でした」
●評論映画『home』を観て
●短歌
●随筆「いのちを憎む人の周りにいた大人たちは」(当事者手記)
●おすすめのコーナー ひきこもり関連の本の紹介
●居場所・団体紹介 ユースサポートネット・リロード だめ連
●編集後記・申込方法
第3号 2003年11月21日
●山下英三郎インタビュー 後編
●私の好きな格言(当事者手記)
●「スローフード生活」で楽しむ社会的ひきこもり1(当事者手記)
●働くことについて(当事者手記)
●詩 「さ迷える人」他
●父親として息子とかかわる中で(親の手記)
●座談会「日常生活について」
●夢(当事者手記)
●最近思ったこと、感じたこと(当事者手記)
●ひきこもりの思考(当事者手記)
●おすすめのコーナー 詩 CD
●小説「土蔵の中」
●映画コーナー『レター』
●居場所・団体紹介 URA Liby 親ゼミ
●編集後記
●投稿規定・申込方法
第4号 2004年1月30日
●親の座談会
●詩 「紺碧の海」
●「スローフード生活」で楽しむ社会的ひきこもり2(当事者手記)
●詩「無題」
●高岡健さんインタビュー
●詩「雪はあったかい」
●夢(当事者手記)
●重大ニュースに思うこと(当事者手記)
●ひきこもりとインターネット(当事者手記)
●詩「白い妖精」他
●おすすめコーナー 本の紹介
●居場所・団体紹介 ほっとりんご 青年のつどい
●そこに「いる」という喜び(当事者手記)
●アンケート
●編集後記
●投稿規定・申込方法
第5号 2004年4月20日
●塩倉裕さんインタビュー
●ひきこもりは獲得するものだ(石井志昴)
●「スローフード生活」で楽しむ社会的ひきこもり(完)(当事者手記)
●ひきこもり母子のマイペース生活(卯月タラ)
●ショートショート「夢」
●芝居『両A面』を観て
●詩「大人で仕事が忙しい」他
●座談会「ひきこもりを研究する立場から」
●ウルトラマンから学ばなかった過去の僕…そして学ぶ今(当事者手記)
●寓話「うなぎ屋の子供部屋」
●黄泉比良坂(当事者手記)
●居場所・団体紹介 とらいスペース 青年サポートセクション 茨城NPOセンターコモンズ
●編集後記
●投稿規定・申込方法
第6号 2004年7月30日
●保坂展人さんに聞く 年金
●その瞬間が私を待ってる(当事者手記)
●今日を生きていく(親の手記)
●詩「無垢もどきで」
●インタビュー 田口ランディさん
●中年ひきこもりの親のかたへ(当事者手記)
●戯曲「ジョン・H・ワトスン博士の奇妙な生活」
●座談会「生きている 〈ある〉ということ」
●おすすめコーナー「憲法9条」
●居場所・断端紹介 ふぃーるど・ぱわーです。
●編集後記
●投稿規定・申込方法
●おまけ
第7号 2004年12月10日
●インタビュー 芹沢俊介さん
●無題(当事者手記)
●25歳の目線から 2004年10月(当事者手記)
●学校へ行かなくなった(親の手記)
●自分の育て直し(当事者手記)
●座談会「親の会世話人~生き方を学び続ける~」
●ひきこもりとは修行僧のような祖納(当事者手記)
●詩「そのときあなたは~永久に葬り去られたマモルへ~」
●こころのヒトラーを太陽の下に(当事者手記)
●居場所・団体紹介 ネモネット
●まんが
●編集後記
●おまけ
●投稿規定・申込方法
第8号 2004年2月20日
●インタビュー 石川憲彦さん
●独特の文化なんて在り得ない(当事者手記)
●立派じゃなくても生きてます(当事者手記)
●一母の思い(親の手記)
●娘14歳の誕生に思うこと(卯月タラ)
●夜はいつかは明けるから(当事者手記)
●マンガ「誰でも持ってる心の闇」
●天動説―地動説(当事者手記)
●座談会「幸せってどんなものだろう?」
●ヤヤコシイ存在(当事者手記)
●覚え書「赤貧家族ゲロゲロ」
●居場所・団体紹介 クッキングハウス
●おすすめコーナー 本の紹介『今日一日だけ生きてみよう』
●編集後記
●おまけ
●バックナンバー
●投稿規定・申込方法
第9号 2005年4月20日
●インタビュー 平田オリザさん
●中学で学んだもの…それは「他人を信じるな」ということ。(当事者手記)
●親として当事者として(当事者手記)
●花束事件(卯月タラ)
●夜はいつかは明けるから(当事者手記)
●マンガ「誰でも持ってる心の闇」
●座談会「メインストリームに乗らない生き方の私たち」
●居場所・団体紹介 木ようの家
●おすすめコーナー 映画紹介『ラブ&ポップ』『リリィ・シュシュのすべて』
●おまけ
●編集後記
●バックナンバー
●投稿規定・申込方法
第10号 2005年8月20日
●渡辺位さんを囲んで
●僕は、かつてひきこもったことがあります(当事者手記)
●1979年の出来事(当事者手記)
●支えることの大切さを知る(親の手記)
●手紙(卯月タラ)
●6月の雑感(当事者手記)
●ボクが文章を書く時とボクが文章を書けない時に考えた方法(当事者手記)
●座談会「精神医療のあり方を考える」
●夜はいつかは明けるから(当事者手記)
●マンガ「だれでも持ってる心の闇」
●シナリオ「MOO(前半)」
●随筆&本の紹介『51歳のフリーター』
●居場所・団体紹介 ヒッキーネット
●マンガ予告編「ワタシハ何ノ為ニ生キテイルノ?」
●バックナンバー
●おまけ
●編集後記
●投稿規定・申込方法
第11号 2005年11月30日
●インタビュー べてるの家
●それぞれのペースでいいと思います(当事者手記)
●子供と向き合う親になるために(親の手記)
●メールの絆(卯月タラ)
●路地裏のタンポポ(当事者手記)
●座談会「居場所について」
●シナリオ「MOO(後半)」
●マンガ「ワタシハ何ノ為ニ生キテイルノ?」(1)
●居場所・団体紹介 ちばMDエコネット
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●バックナンバー
●「IRIS」10号正誤表
●おまけ
●編集後記
●投稿規定・申込方法
第12号 2006年3月31日(最終号)
●インタビュー 奥地圭子さん
●主観的に一人称的世界を生きている私(当事者手記)
●タラと仲良し家族の近況(卯月タラ)
●特集 長田塾裁判
「長田塾裁判」に寄せて
弁護士多田元さんのお話し
ひきこもり当事者・経験者からの意見
●詩「鐘の四季」他
●詩「IRIS」
●おすすめコーナー
●音楽の紹介
●ブログの紹介
●居場所・団体紹介 かめのいえ てらネットEN
●IRIS読者の方々のご感想
●終刊のことば
イリス終刊に寄せて(奥地圭子)
IRISの活動をふり返って(IRIS編集部)
IRISについてのお知らせ(須永祐慈)
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●おまけ
●バックナンバー・申込方法
●編集後記
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協力 シューレ出版 須永祐慈さん
文・写真 喜久井ヤシン(きくい やしん)
1987年生まれ。10代半ばから20代半ばまで、断続的な「ひきこもり」を経験している。
ツイッター 喜久井ヤシン (@ShinyaKikui) | Twitter
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