ひきポス -ひきこもりとは何か。当事者達の声を発信-

『ひきポス』は、ひきこもり当事者、経験者の声を発信する情報発信メディア。ひきこもりや、生きづらさ問題を当事者目線で取り上げます。当事者、経験者、ご家族、支援者の方々へ、生きるヒントになるような記事をお届けしていきます。

【ひきこもりと地方】コロナ禍における地方の当事者活動について【後篇】

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文・マイメロ アット(うさぎプロジェクト代表)

 

 ・・・前篇からのつづき

www.hikipos.info

 

組織を運営する上で学んだこと

うさぎプロジェクトの広報活動として各種SNSやブログを利用し、ひきこもり等の生きづらさを抱えている方の目にとまればと考えている。具体的には、Facebook・アメーバブログ・Line・twitter・Instagram等を利用しており、多岐にわたるため複数人で管理している。特徴として、Facebookからは40歳代以上からの参加が多く、twitterからは20・30歳代の参加が多い。

アナログ情報も大切にしており、近くの公民館や社会福祉協議会等に働きかけてチラシを設置していただいている。また、ひきこもり関係のイベントがあった際にチラシを置いてもらい、他の資料と同様に配布してもらっている。嬉しいことに、当事者仲間からの口コミで参加してくださる場合もある。今後何かしらイベントを計画している方がいらっしゃれば、ぜひ参考にしていただきたい。

 

任意団体を運営するうえで特に気を付けていることは、うさぎプロジェクトルールを事前に周知することにより、トラブルを未然に防いで参加者が安全かつ安心に過ごせるようにしている。例えば、「参加時点でルールを同意したとみなす」ことにより、後からルールを知らないことによる問題が起きないようにしている。また、「途中参加及び退出可能である」とすることにより、気軽にいつでもイベントへ参加できるようにしている。そして、「深刻な内容は主治医や専門職へ相談する」というルールを設けることにより、ピアサポートに限界があることを周知している。

 

コロナ禍で当事者活動に制限がかかる中で、他にどのような社会に貢献できる活動があるか探っている。まずは身近にあるボランティアとして献血がある。成分献血の場合は体にかかる負荷も少ないため、2週間に1回献血ができる。血液検査や血圧測定に加え、医師との問診により体調管理もできるメリットもある。スタッフはとてもやさしく誘導してくれるため、ひきこもりでも行ける人が居るかもしれない。献血回数に応じて表彰されるため、今後も数多く献血できるように体調を整えていきたい。赤十字では他にも災害派遣のボランティアなども行っている。

うさぎプロジェクトでは、2021年のテーマとして「献血をもっと知ろうキャンペーン」を展開している。参加者には精神科に通っていて服薬により献血できない方も多いが、献血という制度を改めて知ってもらうだけでも価値があると思っている。コロナ禍において、特に若者で献血する人が減っているのが実情である。例え本人が献血できなくても、周りに声かけしていただき、少しでも献血する人が増えることを願っている。

他にもチャイルドラインという電話相談を行っている。チャイルドラインでは、18歳以下の電話相談を受けているが、無言電話や大人と思われる方からの電話も多い。将来的には、あらゆる世代からの電話相談を受けているいのちの電話の相談員もしてみたいと考えている。

 

地方におけるひきポスの立ち位置

ここで、地方のひきポスに関する販売や広報活動の実情についてお伝えしたい。

KHJ全国ひきこもり家族会連合会の支部の月例会や、ひきこもり関連のイベントがある際は、ひきポス運営から送られてくるひきポス冊子を持参して販売を行っている。販売の際に、ひきこもり当事者が記事の作成から構成まで全て行っていることを伝えると驚かれることが多い。

2019年末にはコミックマーケットでもひきポス販売のお手伝いをさせていただき、手に取った方の反応はとても良かった。ひきこもりに関わる支援者が作成に関わっている本はたくさんあるが、ひきこもり当事者が作成している例はあまりない。

当事者だからこそ伝えられる内容がたくさんあるため、今後も地方でのひきポスの販売にも力を入れていきたい。個人活動だけでは限界があるため、社会福祉協議会等に声かけして定期購読してもらい、多くの人の目にとまる場所に設置してもらうこともしている。

 

マイメロアットの半生

私のプロフィールについて大まかにお伝えしたいが、現在は就労しており、勤務先の都合で個人情報をあまり公開できないことをご了承いただきたい。

地方出身で人付き合いは幼少期から苦手であったが、家族には学校や塾等で孤立していることを知られたくなかった。小学校高学年頃から図書館へひとりで行くことが多くなり、心理学や血液型の本を読みあさっていた。どのようにすれば人間関係がうまくいくのか調べていたが、納得のいく答えは見つからなかった。

就職後も、コミュニケーションの基礎ができていなかったため、上司や同僚から叱責されていたが、具体的にどのように改善していいか分からずに困っていた。

その後、精神科病院で発達障害及び双極性障害の診断を受けた。カウンセリングや認知行動療法を受けることにより、少しずつ発達障害との付き合い方が分かるようになってきたが、双極性障害との付き合い方はあまり分かっていない。

障害者サービスの利用や各種行政サービスを利用するためには、障害者手帳が無いと支援を十分に得ることができないことが多かった。そのため精神障害者手帳を取得し、現在は2級である。現在も相談支援専門員を交えて定期的にモニタリングをしてもらっている。今後は社会保険労務士と相談しながら障害年金の申請を行う予定である。

私がオンライン活動に力を入れている理由は、幼少期から住居を転々としたため、一カ所でずっと当事者活動ができないことにある。ネット中心の活動であれば、どこに住んでいても継続的に当事者活動ができる。住んでいる地域だけでなく、多くの方に活動を知ってもらうために、居場所や支援機関に繋がっていない方への広報活動に力を入れるようになった。

私は障害の特性や、家庭内の後天的な環境もあり、彼女を作ったり結婚することが極めて難しい。両親が離婚していることもあり、ピアサポート活動等を通して社会に貢献することが親孝行になるのではないかと考えている。特定のパートナーとの関係が構築できない分、ひきこもり界隈等に関わる全ての人をこれからも大切にしていきたい。

 

アフターコロナ時代の地方のひきこもり

まとめとして、もともと地方のひきこもりに対する風当たりは強かったが、コロナ禍の影響で各種ひきこもり当事者会や居場所が休止に追い込まれており、ますます相談できる場所は減ってきている。そんな中で、ネットを通じて多くのひきこもり当事者や親御さんが安心して過ごせる居場所がこれまで以上に必要とされている。

コロナが収束した後も、Zoomやskypeといったツールを使ったオンラインでの交流が一般化すると考えている。ただし、オンラインだけではリアルを肌感覚でつかむことができず、これまで外に出られていた方まで家に引きこもってしまう危うさも抱えている。

私は、オンラインでの活動も大切にしつつ、外部の交流会や組織を積極的に情報提供して、ネットとリアルの融合を図っていきたいと考えている。アフターコロナの新たな地方のひきこもりが少しでも生きやすい世の中になるように、コロナ禍の内に虎視眈々と想像力を働かせながら当事者活動を続けていきたい。(了)

 

 

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