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まとめ記事に見られた「ひきこもり」への偏見と誤解、そして批判の嵐

 

※こちらの記事には一部、まとめサイトの怖さを伝えるためにあえてヘイト・暴力的な内容を含む文章をそのまま掲載している部分があります。お読みになる場合、そういった内容が苦手な方はご注意下さい。

(文・かっしー 編集・Toshi)


きっかけとなったのは、私こと「かっしー」のこんなツイートでした。

 

私が当初、障害年金を受けたくて精神科を受診した時、私が不安障害である事を知りながら診察すらしてもらえなかった・・・という嘆きのツイートをした事に端を発します。
これは後日、私も治療ではなく、最初から診断書目的で行くと医者も不快になる場合もあると聞き、そこは素直に受け入れて反省しております。

そしてしばらくたった頃、ネット上で同じ「ひきこもり仲間」として交流のあったToshiさん(以下「としさん」)から、私たちのやり取りが5ちゃんねるからまとめ記事に載せられている、との知らせが入りました。

ライブドア・哲学ニュースnwk『ひきこもり「変わろうと思い精神科に行ったら、時間無駄にして無駄な10年過ごしたねって医者に言われた」

blog.livedoor.jp

 

これはとしさんのツイートがモザイクなどなしにそのまま載せられている点についてはひどいと思いましたが、賛否両論あるのは予想ついていたので、お互いその範疇だという感想でした。

さらにそのまとめ記事のまとめの方が杜撰でした。
ライブドア・キニ速・【悲報】引きこもり女さん「味方だと思った精神科医に相談したら説教された・・・」

http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/5372986.html
(2022/09/22現在、こちらは管理人から連絡があり、謝罪・サイトの削除及び該当ツイートの削除報告あり)

ここでもとしさんのツイートが取り上げられていますが、としさんは女性であるとは書いていませんし、おそらく私と、としさんをごちゃまぜにしています。

この辺りから、今回の対談をやろうという経緯に至りました。

出だしは「ひきこもり」から。

かっしー:私も以前Zoomで(新聞などの)取材を受けた時、経緯の出発点が必ず「ひきこもり」からで、その前に職場でいじめられてた事はスルーでした。「ひきこもりからの脱出」が美談にされる事って多いですよね。

とし:そうなんですよー!どうしても職場でひどい目に遭ったりとか、そういう話がスルーで・・・私の場合は「ひきこもりから「脱出」して働いたけど、精神疾患になって潰れましたが・・・」という話なんですよねえ。

かっしー:最初からひきこもってる人はいないはずなのにね〜。「ひきこもりからの脱出方法」みたいなのはしきりに取り上げたがるのに、何故「ひきこもった原因」はスルーしがちなのか、疑問です。

とし:まったくです!学校でも会社でも、ひきこもらざるを得ない場所って、もう耐えがたい環境で・・・ひきこもりから「脱出」しても、怖い場所なのは変わりませんし・・・

かっしー:ひきこもるまでに、ひきこもりにならないよう、相当な葛藤をして、疲れ果ててからひきこもるしかない、というのが私なりの「ひきこもり論」です。苦しんだ期間が長いほど、脱出も難しいですよね。

とし:硬いものが粉々に壊れるような感じというか。私も学校に行けなくなるまで、ほんとギリギリまで我慢してました。

二重のひきこもり状態。

かっしー:で、よく言われるのが「ひきこもれるだけマシ」論。これも誤解がひどいなと感じます。私は家の中でも、特に父が厳しすぎて自分の部屋にひきこもる状態でした。簡単に言えば二重のひきこもり状態と言いますか…。

とし:必ずテンプレみたいに「ひきこもれるだけマシ!俺は働いている!」という人がいてうんざりします。ひきこもりの辛さって、全てが方向性がなくて、宇宙に捨てられているのに、家族にも周囲にも責められていて、何をして良いのか分からないけれど、ずっと苦しいというか・・・努力でなんとかなる話じゃないんですよね。

ひきこもったきっかけ。

かっしー:自分の身の上話になるんですけど、職場のお局様に仕事以外の事で毎日いびられて(例:「若い子は失敗しても許されて良いわね」等)「仕事がトロい!」って怒られるなら努力しますけど、そういう方向だと「これ以上何を頑張れば許してもらえるんだろう?」と混乱してしまったんですよね。
それで不安障害の吐き気など発症して、心療内科に行って職場とも相談したんですけど、もうそのお局様には上司もお手上げみたいで、最終的に私が辞めるしかないって事になり、それで「勤める」とか「出勤する」って事自体が怖くなってしまいました。

このままじゃイカン!と何度もアルバイトとかトライしてみたんですけど、朝玄関から出ただけで足が震えて前に進まない事も何度もあって。フラッシュバックして、泣きながらお休みの連絡入れた事も何度もありました;;

とし:私の時も同じなんですよ・・・私の仕事は介護ですけれど、8年目ぐらいのベテランに、靴の置き方一つでも主観で怒鳴られました・・・。その人は明らかに利用者の高齢者さんを怒鳴りつけていましたが「よく現場を押さえ込んでいる良い職員」とされて、手のつけようがなくて・・・しかも悪いことに、介護の資格は私の方が上でした。(だから利用者様を無視した行動ができず、とろいと言われる)

私が辞める時は、ほんとに楽しそうで「へー、うつ系で辞めるの?キャハハ!」って笑われたとき、この人、ひとの心を壊すことをなんとも思ってないんだなと恐ろしくなりました・・・。

同じ状況で「ひきこもりは働け!」とか言ってる人、耐えられるんですかね><

かっしー:この発言をした人、そこまで考えて言ってないなって分かりますね^^;

19:アバカビル(東京都)[CO]:2022/09/18(日)18:33:22.88ID:MH93oKla0
>>13
病気は発症してから行くとこなんだよ
つまり引きこもってるだけの奴が精神科に来ても困るんだよ
外でて発症してから精神科いけや

 

この発言見た時、「だから私、外で働いてて発症したから、心療内科行ったんですけど」「で、ひきこもり生活が長引きそうだから、改めて精神科行ったら診察もしてもらえなかったって話なんですけど」とツッコミまくってました(笑)

とし:そうなんですよねー。今回は見出しのせいで「ひきこもりを治してもらうために病院に行った→働け」という、事実と関係ない話になった結果、ひきこもり自体への、まとめサイト集団の偏見の根深さを見せてくれました。

かっしー:ネット出来るんだから、ひきこもりじゃない!って人も、厚労省のひきこもりガイドラインをしっかり読んで欲しいなと思います。自分もひきこもりかも・・・と思ったら、こっちに来ちゃえば良いんですよ。優しい人が多いから、歓迎してもらえると思いますけどね。

とし:その意味ではまとめサイトを見ている人に、実際はひきこもり当事者もいるんだろうなあと思います。なのでほんと大歓迎ですよ。良かったら、ひきこもり関連の場所に遠慮なく来てほしいです。

ジェンダー問題・・・?

かっしー:ところで途中でとしさんが、私とごっちゃになって「引きこもり『女』」と間違われてるんですけど(笑)、これって一人称「私」=女性って勝手に思われてるのかな~って思ったんですが・・・

とし:それもあるかもですね。「私」と使うことが多いので、昔から時々間違えられます。それは良いんですけれど、こういう間違いをするということは、まとめサイトに転載する側は、まともに投稿内容を見てないんだなと。

かっしー:コメントの中に「無職の女は役に立たない」みたいな発言ありましたが、これって何気に専業主婦の方も敵に回す発言になり兼ねない気がします。
私は主婦・主夫業も立派な仕事と思ってますが、中には無職と同義に思ってる方も居ますもんね;;

とし:なんか女性差別とか精神疾患とか、色々な物への差別的投稿も含まれていますね・・・家事労働や保育・介護が相当に大変なのは、私自身も介護の仕事をやっている限りですが、すごく感じます。

 

127.名も無き哲学者 2022年09月19日 00:01 id:OF55qNmP0
>>112
ひきこもり以上に女の無職のほうが汚物だし、生きたまま焼却処分して残った骨は粉砕機で砕いてアスファルトに混ぜられて道路になって社会の礎(物理)になってほしいけどな
男の無職は罪悪感で引きこもるが、女の無職は働いてないという罪悪感もないから旅行やら遊び歩いて引きこもってねぇもん
マジで猿
ホント駆除以外勝たんわ女の無職は

 

 

かっしー:この方、無職の女性と何かあったのでしょうか^^;

私には遊び歩いているだけのように見えて(おそらく現実ではそればかりではないと思われ)羨ましくて仕方ない、という僻みにしか見えないのですが。

とし:ひえええ>< どうしたらこんな言葉が出てくるんですかね・・・。

コメントの管理責任は誰のもの?

かっしー:個人を見るのでなく、ひきこもりを・・・というか、世間一般から見た「ひきこもり像」をまとめて、さらに偏見を凝縮しているって感じですね^^;
コメントも多分「第三者が書いたものだから、自分の責任ではない」と思われているのでしょう。(※利用規約では、「第三者からのコメントの著作権等は管理人に一切帰属し、責任を負う物」と書かれているのを確認済み)

とし:本当にそうですね・・・ある意味で、ここまで「ひきこもりへの偏見」が可視化されるとは思いませんでした>< まあ、そもそも無断転載から始まって、こういうコメントを容認しているわけですから、こちらが使っても良いですよね?今回のことをたっぷり考える材料にしたいと思います!

かっしー:私もそう思いまして。その1つが今回の企画になったのでもありますね。

とし:ですね!ある意味で彼らは我々のために、酷いコメントという無償労働をしたのかな。

逆にもっと盛り上がれ!

(こうした対談をしている間にも、新しいまとめサイト発見。

2chnewsblog.blog.jp

とし:サイト内では、Twitterのトップ画像まで変えて来ましたね・・・しかもこれ差別的なあれですよね。別のところで認知症高齢者への差別コメントもありましたし、結果的にさまざまなマイノリティ差別の集合みたいになってますね。

かっしー:私、としさんにはご負担かもしれませんが、どんどん増えたり伸びたりしていって社会現象起こしてくれたらな・・・と思ってます。むしろ。

とし:私も、どうしても仕事や活動ができる範囲になりますけど、派手なカウンターを入れて、ひきこもりへの偏見に対抗する機会になってくれたらと思ってます!結局こういう声ですもんね、ひきこもりが苦しんでいる偏見を象徴する物って。

かっしー:私も、その方が配信で取り上げた時に盛り上がるので助かるんですよね(笑)

とし:まあやれるとこまでやりましょう^_^

 

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きりがないので、としさんのご負担等も考えて対談はこの辺りで一旦打ち切りましたが、その後もスレッド・コメントは伸びつつあるようです。そしてそのうちの大半が誤解であり、「ひきこもり=無職=甘え」という偏見によるひどい物が多く見られました。(中には「自分も同じ目に遭った」「否定から入る精神科医は止めた方が良い」などの好意的な意見もありましたが)

運営サイトに申し出てスレッドごと削除してもらっても良いのですが、私は後半部分で述べた通り、もっと広がって「ひきこもり=無職=甘え」という認識を正す社会現象を起こして欲しいと思うので、あえて削除依頼はせずに居ます。おそらく、協力して下さったとしさんも同じ考えでしょう。

この対談を読んで同意下さった方にも、ぜひ「拡散」という形でご協力頂ければと思います。そのために私どものツイートなどが必要であれば、いつでも提供しますのでお声がけ下さい。

 

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【Twitter】
(本原稿著作者)かっしー→https://twitter.com/cassyie_r

(原案・担当者)とし(Toshi)

 

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