文・写真 山添博之
近年、出版は特別なことではなく、誰にでも手が届くものになりました。
私のように出版業界に何の繋がりも無い人間でも本を出版できてしまうのです。しかも、お金をほとんど掛けずに。
もし、この記事が誰かの新しい一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しく思います。
お金をかけずに出版? POD出版とは
POD(プリント・オン・デマンド)出版とは、近年生まれた新たな出版方式であり、注文毎の部数分だけ印刷・製本し、配送する出版サービスです。
旧来の出版方法では1000冊などをまとめて大量に印刷・製本を行うことが一般的でした。そのため、自費で出版しようとすると数十万〜百万円などの多額の費用が初期費用として必要でした。
しかし、このPOD出版では注文分だけ印刷・製本されるため、在庫を持つ必要がなく、出版に際して合計0円〜1万円程度の費用しかかかりません。
カラーの本も出版できますので、この方法により、テキスト主体の本だけでなく、イラスト本や絵本、画集、写真集も出版可能です。もちろん漫画も出版できます。
※国内で発行された出版物は、発行日から30日以内に国立国会図書館に納入することが義務付けられています(郵送でも納本可能です)。
POD出版を提供する業者は沢山あります。
私はKDP(Kindle Direct Publishing)を利用し、POD出版を行ってみることにしました。
出版までのプロセス
以下に出版までの大まかなプロセスについて紹介していきます。
※POD出版を行うための具体的な手順に関してはGoogle検索することで詳細に解説しているページが幾つも見つかると思いますので、詳しくはそちらをご参照ください。
① 原稿を用意する
まずは出版する本の内容となる原稿が必要です。
画集や漫画や写真集なども出版できますが、私の場合は文章が主体の本(自伝+エッセイ)ですので、文章を日々書き溜めていきました。最初にテーマや流れや章の構成を決定し、それに基づいて約5ヵ月間かけて文章をひたすら書き溜めていきました。
合計で約14万文字の内容となりました。その後、校正と推敲を繰り返し、原稿が完成しました。
原稿が完成すれば、所定の形式で原稿ファイルを作成し、KDPへ提出を行います。
KDPはPDF形式での原稿提出を受け付けているので、Wordで出版したい本のサイズやスタイルに適合した形式のフォーマットを作り、書き溜めていた原稿を入力し、PDF形式で出力し、提出用原稿ファイルを完成させました。
② 表紙、裏表紙、背表紙デザインを作成する
本には表紙や裏表紙や背表紙が必要になります。自分で作成することもできますし、もちろん誰かに描いてもらうこともできます。
私の場合は絵を描く才能がある友人に依頼し、描いて欲しい絵のサイズとイメージを伝え、描いてもらいました。その絵に画像編集ソフトを使って、タイトル文字や自分の名前を書き入れました。
その絵をPDF形式に変換しました。これで、提出用の表紙、裏表紙、背表紙ファイルが完成しました。
③ ISBNコードを取得(任意)
一般的な書籍には、ISBN(国際標準図書番号)というものが付けられています。これは書籍を特定するための国際コードであり、本を書店に流通させる場合や、図書館に寄贈する場合にはそのコードが割り当てられている必要があります。このコードは「日本図書コード管理センター」というサイトを通じて取得が可能です。1コードにつき約1万円で取得できます。
KDPで出版する場合、「無料ISBN」と呼ばれるコードを無料で本に割り当てることが可能ですが、それは元来のISBNとは違い、Amazon内以外では利用できません。しかし、書店流通や図書館への寄贈予定が無く、Amazon内だけで流通させたい場合はこちらの無料ISBNでOKだと思います。
自分はせっかく自著を出版するので、日本図書コード管理センターでISBNを取得して割り当てておきました。
日本図書コード管理センターでのISBN取得方法や、書籍への割り当て方法につきましても、Google検索すると詳細に解説しているサイトが幾つもありますので、もし知りたい場合は、そちらを参照していただければと存じます。
④ ファイルの提出と各種情報の入力
これで本自体に必要なデータは揃いました。
PDF形式の原稿ファイル、表紙、裏表紙、背表紙をKDPにアップロードして提出し、取得したISBNコード、本の紹介文、著者プロフィール、値段設定などの各種必要情報を入力しました。
⑤ サンプルの確認
KDPにおいては出版前に校正刷り(校正用のサンプル)を送付してもらうことが可能です。有料(白黒印刷の200ページ程度の本の場合、送料と合わせて計1000円程度)ですが、それを通じて実際の仕上がりを確認できます。
もし、仕上がりがどんな感じになるのか心配な場合は校正刷りの印刷を依頼し、チェックすることが可能です。
⑥ KDPの審査を受ける
これで出版の準備が整いました。
後はKDPの審査(1〜3日程度)を受け、KDPの出版ガイドラインに違反などがなければ合格となります。
⑦ 出版開始
KDPの審査に合格すれば出版開始です。
出版した本『十年ひきこもりから世界へ』
こうして形になったのが、拙著『十年ひきこもりから世界へ: 漂流の先に見つけたもの』です。
私の幼少期、約10年間のひきこもり経験、親元から離れて地を這うように生きた日々、そして海外旅や異文化交流に目覚めてからの活動・・・などなど、私の恥や心の闇も含めてさらけ出した形で書いています。それに加え、様々な出来事に関して渦巻く私の想いも綴りました。
ひきこもりの人々には、それぞれ異なる背景や経緯があります。私の経験は1ケースに過ぎませんが、この本を読むことで1例として、長期ひきこもりを経験した人間が直面する現実が一体どのようなものであるか理解を深めていただけるかと存じます。
加えて、私は過去に長期間のひきこもりを経験しつつも、様々な国を放浪し、様々な国の人々と交流してきました。この過程でユニークな体験を色々してきました。普通とは少し違った独特の人生を歩んできましたので、この本には様々な特異な情報も含まれています。その意味ではある意味面白い本に仕上がっているはずです。
もし、ご購入して読んでいただけたら幸いです。
<著者プロフィール>
山添博之(ヤマゾエヒロシ)
1984年生まれ。10代前半からイジメに起因する重度なひきこもり状態を約10年間経験する。その後、就労し自立するが、32歳頃に仕事を辞め、単身ひきこもり生活者となる。
32歳以後は海外一人旅を頻繁に行うようになる。現時点で計16ヶ国を放浪。同時に「Hikikomori」をキーワードとし、インターネットで世界に向けた発信を行いながら、海外ひきこもり達と交流の輪を広げて行き、彼らの為のオンラインコミュニティを運営するようになる。
2024年春からはカウチサーフィンというアプリを利用し、自宅を海外の旅人に滞在先として提供するプロジェクトを行うようになる。
近況については主にTwitter(X)にて発信している。
・筆者に関するオンライン記事やSNSへのリンクは以下を参照のこと。
週刊女性PRIME記事: https://www.jprime.jp/articles/-/19770
プレジデントオンライン記事: https://president.jp/articles/-/55007
日刊SPA!記事: https://nikkan-spa.jp/2037410
Twitter(X): https://twitter.com/hiroshiyamazoe
Website: https://hiroshiyamazoe.com/
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