ひきポス -ひきこもりとは何か。当事者達の声を発信-

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『ひきポス』人気記事のまとめ ~親・支援者へのメッセージ~

文:ひきポス編集部

 

『ひきポス』をご覧いただきありがとうございます。
今回は『ひきポス』のメンバーである喜久井伸哉(元・喜久井ヤシン)さんの人気記事の中から、特に親・支援者に向けて書かれたものをご紹介します。長期間の「不登校」と「ひきこもり」の経験をもとにした、オリジナリティあるメッセージをご覧ください。

 

 

① 問題はゲームではなく「ゲームしかない」こと 不登校・ひきこもりとテレビゲーム

ゲーム依存やゲーム脳がニュースになっているように、「不登校」や「ひきこもり」の子をもつ親にとって、テレビゲームは悩みの種です。
しかし、ひきこもっていた時期に一日中ゲームをしていた喜久井さんは、「ゲームがなければ自殺していた」と言います。その真意はどのようなものなのでしょうか。

問題はゲームではなく、「ゲームしかないこと」です。
政治家や親にやるべきことがあるとすれば、それは子どもからゲームを奪うことではありません。
ゲームを含めた、多くの可能性を豊かにすることであるべきです。
問題に対しては、子どもから何かを奪うことでなく、 与えることで解決の手段を探ってほしいと思います。

当事者が語る、真剣なテレビゲーム論となっています。

 

 

② 私が支援の場で言われた最悪の言葉 「いつまでも〇〇じゃないんだから」

 

親や支援者は、当事者にどのような声をかければよいのでしょうか。タイトルの「〇〇」に入るのはよく聞く言い回しであり、ありふれた言葉に過ぎません。しかしその平凡な言葉が、当事者を傷つけてしまうことがあるようです。

善良な「支援者」が、将来を不安がらせることによって私を変えようとしても、その言葉は悪い影響しか与えない。結果として、〈現在〉の私を果てしなく痛めつけるばかりだ。

当事者との向き合い方を考えさせられる一本です。

 

 

③ 暗い支援がほしい

 

世の中では何かと「明るさ」が求められるものです。ひきこもりの支援者にも、テキパキ・ハキハキした人が好ましいと考えられがちですが、当事者にとっては、かならずしもそうではないようです。

就労に対して、キラキラと未来を語るような職員は、私には恐ろしい支援者だ。
放言的に夢想するなら、支援事業は葬儀社のような雰囲気で、暗く、沈鬱におこなってほしい。
職員の「コミュニケーション能力」の査定においては、「おしゃべりのうまさ」よりも、「沈黙のうまさ」が評価されてほしい。
職員は全員が喪服を着て取り組み、「暗い」雰囲気を欠かさないように。

ビジネスの場で「できる人」と、ケアの場で「できる人」の素質は、大きく異なっているのかもしれません。

 

④ 受援力 私を救わないでください

 

被災地支援に関して使われた「受援力(じゅえんりょく)」という言葉に注目。「人を助ける力」ではなく「助けを受ける力」とは何かを考え、当事者自らが支援の言葉としてとらえ直しています。

私自身のことを思い出すかぎり、受援力がない状態で、居場所を紹介されたり、「ひきこもり支援」の情報を知っても、まるで役に立たなかった。

けれど「支援」のあり方が、当事者に対して就労や納税への短絡的なプレッシャーをかけるものなのだとしたら、むしろ私のような者の受援力を下げることになりかねない。
それは結果として、「ひきこもりの救済」から遠のかせることになるだろう。
就労のために外から与えられる「支援」だけでは、私は救われなかった。
「支援」の前に、人や世の中に対して信頼を抱けるだけの、内側にたくわえられた受援力がいる。

過去の『ひきポス』の記事の中でも、特に大きな反響を呼んだ一本です。

 

⑤ わたしの「引きこもり」ではなく、世の中の「押しこわし」を解決してほしい

 自分が「引き・籠もり」になったのではなく、世の中の側に「引きこもらせる圧力があった」と語り、それを「押しこわし」という造語で表現。従来の見方を逆転させ、「引きこもり」論ではなく、「押しこわし」論を展開しています。

造語になってしまうが、一度、この、「押しこわし」について、考えてみたい。

「圧を受ける」、という表現は、一般的だ。
「威圧感がある」「高圧的な態度」「圧迫面接」「重圧につぶされる」「抑圧を受ける」……など。
「圧」、という、何かから「押される」感覚は、実は、世の中に多いのではないか。
「重荷になる」「急(せ)かされる」「心が折れる」、といった表現も、「押しこわし」に、関係してくる気がする。

本当の意味で「当事者に寄り添う」大切さが語られています。

 

 

ご覧いただきありがとうございました。

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