今回は、「ひきこもり」経験者による詩をお送りします。
ユーモアのある語り口をお楽しみください。

代理人代理
本日代理人不在のため
これ以降は本人であるぼくが
直々に代理人の代わりを勤めます
なるほど ここに署名すればよろしいか
ぼくだって仕事ができるんである
とはいえ自分も面倒なもの
あっちの顔を立てればこっちの顔が立たず
どうも各方面にご面倒おかけしている模様で
ふーむ ぼくに寄り添いたいぼくとしては
失敗を否定していないわけではないことは否定できない所存であるん
やがて皆が待ちわびた代理人が帰還
ますますのご清栄を誓った代理人は
ぼくを代理人補佐官に任命
よろしい従おうではないか
従属こそ我らの文化なのだ
そして大活躍大車輪だ代理人
代理人補佐を増員していくと
もう一人の代理人補佐が出世
ぼくは代理人補佐官補佐を務め
事業は巨大化していったのであるん
ぼくが補佐の副秘書の第二助手を務めるようになったころ
本社がどうやら分裂の騒動/本社がどうやら分裂の騒動
今は下請けから分岐した世襲の分家がトップだたぶん
おいおいぼくよ そのへんにしといてくれまいか
ズタズタの自分を見ているぼくなど見ていたくない
だからすべてのぼくに告ぐ
ただちに勤労を止めて出てこい
ぼくはぼくにストライキする所存だが
ひとまず今日は止めといてやろう
火曜から(代理人補佐官補佐補佐副秘書第二助手の準見習いの)代理に就く予定だからな
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文・絵 喜久井伸哉(きくいしんや)
1987年生まれ。詩人・フリーライター。
