(文・湊 うさみん)
看守は両親
親に監視されています。
まず、郵便物を勝手に開封されます。親は「間違えた」などと言い張っていますが、どうして何度も間違えるのでしょう。故意としか思えません。
また、勝手に部屋に入っている痕跡があります。ドアに紙を挟んでおいて、落ちてたりずれてたりしたら侵入者ありというよくある手法で調べました。
そのほか、私が何時に寝てるか両親で話してたり、漏れている灯りで起きてるか寝てるかチェックしたり。
さらには食べ物を買って冷蔵庫に置いておくと何を買ったかチェックされます。
ゴミ箱から捨てたものを取り出して、中をチェックするという行為もありました。そのせいで取材を受けた雑誌から掲載誌を送ってもらうとき、「無地の封筒でお願いします」と頼むことになりました。
まれに話をするのですが「何買ったの?」という日常会話のような質問が、詮索に聞こえてしまいます。
なんだか牢獄にいるような気分です。
仲が悪くても気になることは気になる
両親にしてみれば、何を考えているのかわからないひきこもりの我が子のことが心配なのかもしれません。だから色々な情報をほしがっているという可能性もあります。
親に自分のことを話さない私に原因があるのかもしれません。とはいえ、父親とはほとんど口を聞きませんし、母親には話しにくいです。
私は友達や恋人(いないけど)相手であっても、自分のことはあまり話しません。意図的に話さないようにしているというより、警戒心が強いため自然と話さなくなっています。
親とはそんなに良好な関係ではないので、なおさら自分のことは話しません。
それでも親にとっては我が子のことは気になる様子です。
また、親はLGBTに否定的なので、私がトランスジェンダーであることをカミングアウトできていません。
親と一緒にテレビを見ているときにゲイの特集があって、「これ気持ち悪いね」と言った一言は、一生忘れられないでしょう。本人はただの軽口だったのでしょうけれど、私には重い言葉でした。
女性ホルモンを服用してるのでバレバレでしょうけど、一応隠してます。
一人暮らししたいけど
こういう話をすると「一人暮らしすればいいのでは?」と言われます。確かにその通りなのです。しかし、私のように自分で生活費を稼げない人にとっては、一人暮らしのハードルが非常に高いのです。
しかも今は一億総下流などと言われるくらいみんなお金がない時代です。フルタイムで働いても一人暮らしできるかどうかわかりません。
それでも生活保護を受ければ一人暮らしできるのですが、生活保護を受ける条件に「親や兄弟が養う意思を持っていないこと」があります。
親は養う気満々なんです。親の意地なのかなんなのかわかりません。そのせいで私が苦しんでいることは親は知らないでしょうね。
でも、「ご飯を食べるのが面倒くさい」と言ってる私ですから、一人暮らししたら栄養失調で餓死することすら考えられます。いわゆるセルフネグレクトですね。
親に対しては憎む気持ちも感謝の気持ちも両方ある
親のことは嫌いではありますが、好きでもあります。複雑な感情です。私に対してかけてくれた時間とお金は膨大なもので、そこはきちんと感謝すべきではと私は思っています。
でも監視が精神的なストレスになっていることも事実です。
「隠し事がなければ監視されてもいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、隠したいことがあるんです。
それはこれ。ひきポスです。
親のことを毒扱いしてますから、ひきポスに原稿を書いていることはナイショなのです。
今回の記事も親には見せられませんね。どうか見つかりませんように。
執筆者 湊うさみん
20代でドロップアウトして自殺未遂。ニート歴10年以上のエリートニートになっちゃいました。