現在、東京都現代美術館では、『あ、共感とかじゃなくて。』展が開催中です。出品者の一人は、ひきこもり経験のあるアーティスト・渡辺篤さん。ひきこもり当事者と共同制作した作品が展示されており、観る人の心に訴えかけます。魅力はどこにあるのでしょう…
(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 私には、「ひきこもり」の期間があった。優しい人からは、「休んでもいい」、とか、「逃げてもいい」、といった言葉を、言われたことがある。しかし、合計で十年に及ぶ、「ひきこもり」の期間のうち、自分が「休んでいる」…
(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 人間関係のレイヤーが違う 私は、誰か大勢といても、違うレイヤー(層)に、いる気がする。飲み会のような場で、何人もの人がいて、「わぁっ」、と、盛り上がる瞬間。自分だけ、反応できていない。自分だけ、楽しくなって…
(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 自明性の悲しみ 一人で時間を過ごしたり、自分の趣味をしたりすることなら、できる。しかし、どこかに出かけて、誰かに会うことを考えると、とたんに、気力が出なくなる。誰とも交流のない、日々の孤立が、深まっていく。 …
(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 〈気力〉の湧出量 これという、予定のない日。普段よりも、遅い時間に目を覚まして、布団のなかで、自覚する。「ああ、今日もダメな日だ」、と。体も、心も、疲れすぎている。本当は、先延ばししている用事も、家の掃除も…
「不登校」最終解答試論 執筆者の喜久井(きくい)さんは、不登校の経験者です。学校に「行きたいのに行けない」感覚があり、理由を聞かれても、うまく答えられませんでした。なぜ、言葉にすることができなかったのか?そして、「不登校の原因」は何だったのか…
(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 執筆者の喜久井(きくい)さんは、「引きこもり」の経験者です。しかし自ら引きこもったのではなく、世の中の側に「引きこもらせる圧力があった」といいます。それを「押しこわし」という造語で表現し、従来の見方を逆転。…
(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 近年、ひきこもりの人などに向けた〈オンラインの居場所〉が増えています。ネット上で人と交流できるのは便利ですが、メリットばかりではありません。ひきこもり経験者の声をお届けします。 コロナ禍以降、ZOOMなどを使っ…
文・写真 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay 執筆者の喜久井(きくい)さんは、コロナ禍において、強い孤独を感じていたといいます。しかし、行政のサポートがあると知っても、どこにも相談しませんでした。サポートに頼らなかったのは、どうしてなのでしょうか。ひ…
文・写真 喜久井伸哉/画像 Pixabay 現在、国会では「LGBT理解増進法案」の議論がおこなわれています。ひきこもりの経験者で、ゲイでもある執筆者は、この法案に問題があると指摘。LGBTの当事者の声をお届けします。 日本にも、ようやくLGBTへの「差別禁止法…
いつも『ひきポス』をご覧いただきありがとうございます。「文学フリマ」出店のご案内です。 このたび『ひきポス』は、2023年5月21日(日)開催の、「文学フリマ東京」に初出店いたします。 「文学フリマ」は、作品を制作した本人が、来場者に自ら手売りする…
「不登校」最終解答試論(文 喜久井伸哉) 人はほんたうにいゝたいことが何だかを考へないでゐられないと思ひます。(宮沢賢治「学者アラムハラドの見た着物」) 私は「不登校」について語りたいと思います。 しかし私が記憶した「不登校」は、かつて誰から…
めちゃくちゃな形にぐちゃぐちゃな絵の具……〈現代アート〉っていったい何?なぜ「わからない」作品を作っているのか?どうして高額な値段がつくのか?今回は「わからなさ」をテーマにした〈現代アート〉入門をお届けします。 現代アートが「わからない」のは…
「不登校」最終解答試論(文 喜久井伸哉) かつて描かれたことがない境地(残雪) 私は「不登校」の体験を語りたいと思います。 しかし、従来の言葉で私の「不登校」が伝えられるとは思えません。 「不登校」が語られるべきでない方法で語られてしまっている…
今回は、2018年の漫画『たそがれたかこ』に注目。「不登校」と「ひきこもり」の経験者が、親子関係の秘訣に迫ります。 漫画『たそがれたかこ』は、親子関係の苦しさを描いた傑作です。有名とは言えませんが、私には忘れがたい名作でした。 漫画は雑誌『BE・L…
「不登校」最終解答試論 喜久井伸哉 かつては「学校恐怖症」や「登校拒否」だった名称が、なぜ「不登校」になったのか。言葉の歴史をたどることで、現在の「不登校」論の問題点を洗い出します。(全3回 /文・喜久井伸哉) 「不登校」と名付けられるまでの歴…
(文 喜久井伸哉) 「子どものことがわからない」とき、親はどうすればいいのでしょうか。今回は不登校とひきこもりの経験者が、「親にしてほしかったこと」を伝えます。 「寄り添う」だけでいいのか 子どもが引きこもっているとき、多くの親は、どうしたらい…
「不登校」最終解答試論 喜久井伸哉 かつては「学校恐怖症」や「登校拒否」だった名称が、なぜ「不登校」になったのか。言葉の歴史をたどることで、現在の「不登校」論の問題点を探ります。(全3回 /文・喜久井伸哉) 「不登校」の名称の歴史 類語・関連語小…
(文 喜久井伸哉) 「子どものことがわからない」とき、親はどうすればいいのでしょうか。今回は不登校とひきこもりの経験者が、「親にしてほしかったこと」を伝えます。 そもそも「わかる」ことが不思議 「子どものことがわからない」という親御さんの声が…
「不登校」最終解答試論 喜久井伸哉 現代の日本では、「学校に行かないこと」や「学校に行かない子ども」のことを、「不登校」と言っています。しかし私が幼少期から学校に行かなかった体験は、この言葉におさまるものではありません。「不登校」をめぐる調査…
(文 喜久井伸哉) 今回は、近年発表された〈ひきこもり〉に関する本19冊をご紹介します。ベストセラーになったエンタメ小説から、時間をかけて作られたマニアックな論文まで。最新の「ひきこもり」ブックガイドです。 《一般書》 ひきこもりの真実 「ひきこ…
喜久井伸哉 「不登校」最終解答試論③ はじめに行為ありき (ゲーテ『ファウスト』) 私は幼少期に、「学校に行きたいけど行けない」身体に見舞われた。 自分の意思は「行きたい」と思っているのに、行為は「行けない」状態になる。 「行きたいけど行けない」…
喜久井伸哉 「不登校」最終解答試論② おお、友よ、このような響きではない!もっと心地よい歌を、もっと歓びにあふれた歌を、歌おうではないか(ベートーヴェン「交響曲第九番」) 私はこれから、自身に起きた「不登校」のことを、語ろうと思う。 しかし、語ろ…
文 喜久井伸哉/「不登校」最終解答試論① 小中学生の「不登校」は24万件を超え、近年増加を続けています。これは一般的に「問題」と考えられていますが、歴史的に見ると、「子供が学校へ行かないこと」は珍しくありませんでした。今回は、あまり語られること…
文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay 「明るい」支援者はお断り?今回は、ひきこもり経験者が語るユニークな〈支援論〉をお届けします。 世の中の「明るさ」がこわい 私は半分本気でいうが、就労支援所は葬儀社をモデルにしてほしい。 今の世の中は、「明るさ」が…
(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 社会人は〈雑談〉が9割 〈雑談〉さえうまくできれば、どんな社会でも生きていけると思う。 私は筋金入りの「不登校」だが、大人になった今、必要だと思うのは「学力」よりも「雑談力」だ。 世の中で働く多くの人にとって…
今回は、劇団俳優座の舞台『猫、獅子になる』のレビューをお届けします。作品の主役は、中学の頃のトラウマをきっかけに、長年自室に引きこもっている50歳の女性。「ひきこもり」の物語を、「ひきこもり」の経験者が読み解きます。 ※公演初日の11月4日の回を…
(文 喜久井伸哉) もし私の「ひきこもり」にゴールがあるとしたら、「職場で雑談ができたとき」だ。 「就労」ではない。 「ひきこもり支援」では、よく「就労」がゴールのように言われている。 外で働いて、自分のお金を稼ぐという点では、たしかに「社会的ひ…
(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 人がギャンブルにハマるのは、「うまくいく」からではない。 「うまくいくかもしれない」からだ。 ボロボロに負けても、「次はうまくいくかもしれない」と思えるせいで、欲望が立ち切れなくなる。 ゲームの勝敗にしても、…
(文 喜久井伸哉) 私が「生きづらさ」を感じるのは、人生の「グレーゾーン」が少ないときだ。 「学校に行くか行かないか」、「就職するかしないか」、「結婚しているかしていないか」。 はっきりした「白か黒か」の状態しか許されず、中間の選択肢がないと…