ひきポス -ひきこもりとは何か。当事者達の声を発信-

『ひきポス』は、ひきこもり当事者、経験者の声を発信する情報発信メディア。ひきこもりや、生きづらさ問題を当事者目線で取り上げます。当事者、経験者、ご家族、支援者の方々へ、生きるヒントになるような記事をお届けしていきます。

ぼそっと池井多

父が幸せになるため母には不倫してほしかった《ひきこもりの考古学 第14回》

親の不倫のために不幸になった人は不倫という概念を諸悪の根源と見なすだろう。しかし、そうではない成育歴をたどってきた者には、また異なる不倫観がある。母の過干渉から逃れる手立てとして、母に不倫をしてもらうことを願う高校生の息子。……

床に落ちたシャンパン・グラスは自己責任を問いかける【 いまさらだけど「生きづらさ」の正体って何だ? 第7回】

今の日本を生きていて、何が生きづらいかと聞くと「何でもかんでも自己責任にされる」と答える人が多い。それでは「自己責任」とはそもそも何なのか。なぜ「自己責任」にされると生きづらいのか。そこを解像度を高めて考えてみる。

農福連携はひきこもりの就労と農業人口の減少をW解決するか ~ 中高年ひきこもり当事者の一日農業体験記【「地域で支えるひきこもり」を考える 第10回】

最近、ひきこもり界隈では「農福連携」という語を聞く機会が増えた。減少している農業人口をひきこもりの就労に結びつける考え方だ。しかし、そこに留まらないもっと崇高な思想が背後に隠れている。

生きづらさと「ガチャ」【 いまさらだけど「生きづらさ」の正体って何だ? 第6回】

「親ガチャ」「国ガチャ」を嘆く声は多い。現代日本語「ガチャ」とは、いわば環境決定論であり、意志さえ持てばガチャから抜け出せるとしたサルトルの実存主義と対立している。背景には、昔から続く非決定論と決定論の対立の系譜が流れている。

「母親を女として見られるか」親友が突きつけてきた問い《ひきこもりの考古学 第13回》

親友が突きつけてきた問いの向こうにはいったいどんな答えが潜んでいたのだろうか。男尊女卑と女尊男卑、二つの昭和家庭を舞台に緊張感に満ちた会話の記憶。

【家族会と当事者】親が家族会をやめたので私はひきこもりをやめた ~ ひきこもり当事者みつきさんインタビュー

7月末に某ひきこもり家族会の全国組織からアンケート結果が発表され、ひきこもり当事者と家族会の関係が調査された。それを受けて弊誌記者も以前から「家族が家族会へ行っているのが嫌だ」と訴えている当事者に緊急リモートインタビューを行なった。すると、…

「生きづらさ」概念が拡大していく【 いまさらだけど「生きづらさ」の正体って何だ? 第5回】

「生きづらさ」を語らない人は、はたして節度と忍耐力があるからわざわざ「生きづらさ」があると言わないだけなのだろうか。……人間存在の根本的な不安をあらわすドイツ語 Angst から「生きづらさ」を考察する。

親の閉鎖性が子のひきこもりを生む ~秘密と家族~《ひきこもりの考古学 第12回》

子どもとの会話が成り立たないことを嘆きつつも、けっして子どもに真実を教えない親。親が持っている閉鎖性は、体外遺伝として子に伝承し「ひきこもり」というかたちで発現する…

「生きづらさ」はどこからやってくる?【 いまさらだけど「生きづらさ」の正体って何だ? 第4回】

自由であれば、人は選択し葛藤し悩まなければならない。つまり生きづらい。生きづらさの起源は自由なのだ。…… 団塊の世代が1960年代に「生活と生の不一致」をおぼえ、戦争が終わって自由になったはずなのに自由がないというもどかしさを感じていた時代をふり…

【 いまさらだけど「生きづらさ」の正体って何だ?】第3回 無差別殺傷事件から読み解く

ときどき社会に発生する無差別殺傷事件は、加害者の内部に蓄積された「生きづらさ」が爆発した結果であり、もともと精神を病んだ人間であったとは限らない。そう考える筆者が「生きづらさ」という語が登場する1981年以前にも遡って無差別殺傷事件の原因を考…

【「地域で支えるひきこもり」を考える】 第9回 地域ではまず何から支えるべきか

「地域で支えるひきこもり」という支援コンセプトが地域のひきこもり当事者活動を疎外する実例をもとに筆者の行政とのやりとりに苦慮してきた体験の当事者手記。

暴力的支援団体(?)で働いてみて思うこと ~支援団体スタッフ徹底インタビュー~

2年前に有料配信した記事の無料リバイバル。自立支援団体のスタッフがひきポスのインタビューに応じてくれました。支援者の側からひきこもり当事者をどう見ているのか、そして支援とはどういうものと考えているのか。存分に語っていただきました。あとがきは…

【ひきこもり歴史館】第4回 ひきこもり王妃マリー・アントワネット ~「見られる」ことに疲弊する~

フランス革命の混乱のなかで断頭台の露と消えた王妃マリー・アントワネットのひきこもり部屋をご紹介。併せて「ひきこもりとは何か」を他者の視線という観点から再考する。唯物史観や社会構造から解き明かすフランス革命とはまた一味ちがう、嫉妬史観。

「働いてるヒマなんかない!」~なぜそんな焦りに駆られるのか~《 ひきこもりの考古学 第11回 》

「罪悪感を抱くくらいなら働けば」と人はいう。しかし働いていると人生を無駄にしている気がして仕方がない。働いてるヒマなどないんだ。……なぜこんな気持ちになるのだろうか。

【 いまさらだけど「生きづらさ」の正体って何だ?】 第2回「生きづらさ」は変化するか

1981年に「生きづらさ」という日本語が誕生したころの「生きづらさ」とは、はたしてどのようなものであったのか。昭和の名優、高倉健のセリフにそれが語られている!?

【 いまさらだけど「生きづらさ」の正体って何だ?】 第1回「生きづらさ」は普遍的か

「生きづらさ」という語彙は日本語にしかない。「生きづらさ」は普遍的ではないのか。昔から「生老病死」という。生きることが苦しみなのは人間の宿命のはず。でも、それと今の「生きづらさ」は同じものなのか。

存在する不在の父 ~私の「父殺し」と「父求め」~《 ひきこもりの考古学 第10回 》

私に世間によくある父殺しの願望はなかった。私が父を殺そうとしたのは、父を探していたからである。…… 「父」とは何かを問う問題作。

【就労支援を受けなくても 第2弾】ひきこもりのまま社会とつながる ~歴史漫画を自費出版した中村秀治さんインタビュー~

地方に住むひきこもり当事者、中村秀治さん。就労支援を受けて就労したのではなく、ひきこもりながら好きなことを続けていたら歴史漫画を出版することに。が各方面より大好評。ご家庭の環境などもうかがいました。

【ひきこもり歴史館】第3回 かつては社会に尊重されていたひきこもり ~そとこもりとしての修験者・行者・聖~

中世の「そとこもり」といえる「よそ者」や「まれびと」を、村でふつうの暮らしを営む人々は珍重していた。それが今では「社会復帰」の対象となっている。

「ひきこもり」にならない選択肢はあったのか ~ 一次障害と二次障害を考える《 ひきこもりの考古学 第9回 》

「生きるな」と教育されながら育てられれば、「生きる」ことと根本的にぶつかっているのだから、どこかで矛盾が人生の表に噴出する。それが私のひきこもりであり、「遅すぎた不登校」でもあった。

ひきこもり基本法は誰のために ~ 法制化する意味を蚊帳の外から考える ~ 【地域で支えるひきこもり 第8回】

「3年以内の制定を」 要請団体はその圧力を高めているが、どのような法案が用意されているのかは、私たち一般人には皆目わからない。とくに「ひきこもり基本法」というかぎりは、「ひきこもり」当事者を主人公に据えた法律であるはずだが、その主人公たちに…

母と食のもつれた関係を解きほぐす ~ 男が摂食障害を語るとき《 ひきこもりの考古学 第8回 》

「食べない」という行為によって時に人は優位に立ち、「食べる」ことによって堕落する。「食べない」ことは勝利であり、「食べる」ことは敗北である。「食べない」ことによって、人はかりそめの自尊心を得るのだが……

フランスでいじめ厳罰化 日本では今後どうなる?

フランスでは2023年9月から学校におけるいじめ行為が刑法上の罪となり、厳罰に処せられることになった。その詳細はどうなっているのか。そして日本の学校へ応用するにはどうしたらよいのか。さらに教育現場へのしわ寄せは。

「二度と家族に近寄るな」 わが家の ”関ヶ原の戦い” ~ひきこもりと兄弟姉妹、私の場合~ 《 ひきこもりの考古学 第7回 》

ひきこもりから脱するには家族の協力が必要だ。そう考えた私は家族会議を開いてもらうことにした。ところが、そこで弟が予想外の動きを見せ、家族の進路は思わぬ方向に……。

精神障害の当事者としてどのように政治家になったのか 堀合研二郎さんインタビュー

いま自治体によっては地方議会の議員の成り手がいなくて困っている。そこでひきこもり当事者が「社会復帰」するのに、選挙に出て議員になるという方法が考えられる。それに成功した当事者の例を詳しくうかがっていきます。

当事者運動の始まり、そして現在。【世界のひきこもり】お隣の国、韓国のひきこもり事情 第5回

韓国ではひきこもりにどのような支援が行われ、当事者たちはどう活動しているのか。 さまざまな情報が入り乱れている韓国ひきこもり界隈だが、ここできちんと整理しておく。

攻めよりも守りを ~ 支援へのハードルを下げる:「地域で支えるひきこもり」を考える 第7回

支援や福祉において、「攻め」よりもまず「守り」を固める方が先なのではないか。そのためにはまず受援者にとってのハードルを下げるべし。……

就労しないで ひきこもったから 生き延びられた ~ 男性は生きづらさを語れない《 ひきこもりの考古学 第6回 》

内定をもらった私も、内定をもらえなかった同級生も、ともにひきこもった。同級生はその後「社会復帰」して一流企業に就職し、私はアフリカでそとこもりの日々を送ることになった。日本に帰ってきた私が聞いたのは、彼の訃報だった。……

何がひきこもりを生み出しているのか?【世界のひきこもり】お隣の国、韓国のひきこもり事情  第4回

日本と最もひきこもりをめぐる社会状況が似ている韓国でも、兵役がある、地域の祭りがない、などいくつかの違いがある。その一方で、全世界的に通用するかもしれない共通点は当事者は前の世代から「正しさの呪い」をかけられている、ということだ。……

無人の曠野を抜けて - ウクライナのひきこもり当事者 ドミトロH. の手記 第3回

僕はいろいろなことが少しずつできる。でも、どれも少ししかできないんだ。それじゃあ、つまらない。もしすべてを手に入れることができないのなら、むしろもう何も手に入れない方がいい……。