瀬戸さんは現在47歳、女性のひきこもり当事者である。しばらく前にインタビューをさせていただき、その全文は「ぼそっとプロジェクト」で読むことができるが、ここひきポスではハイライトな部分を編集して、ダイジェスト版でお届けする。
インタビュー・編集 ぼそっと池井多
語り・瀬戸
・・・「第2回」からのつづき
ぼそっと池井多 瀬戸さんは、大学でひきこもり始めたわけですけど、いちおう卒業はできたのですか。
瀬戸 なんとかできました。
ぼそっと池井多 就職活動はされたのですか。
瀬戸 友達に誘われて、いちど会社説明会というものに行ってみました。そうしたら、もう何を話しているのか全く理解できませんでした。自分にはあまりにも高度すぎる、と思いました。
これで就職は無理だとあきらめたのですが、他にしたいこともなかったので、とにかく大学を卒業して、家賃、食費分はぎりぎりアルバイトで働きました。
でも、それ以上は本当に働けない。
時給が低いのもつらかったですけど、それ以上にただ自分がすり減って行くのを感じられて、本当につらかったです。
「人生そういうものだよ」
という人もいるかもしれませんが、私は、そうは思わない。とてもそうは思えない。もうやめたい。死にたいわけじゃないけど、こんな生活をやめたい。
「だったら、もっと働いて稼いで、その生活から抜け出せ」
と言われるんでしょうけど、それができないから問題なわけで。私はただ「逃げたい」と思ってました。
ただ自分が擦り切れていくだけの状況から逃げたい。
努力するとしたら、努力するために、さらに擦り切れなきゃいけない。
自分がやりたいことをやってるわけじゃないから。
ぼそっと池井多 今もときどきガッツリとひきこもるんですよね。
瀬戸 はい。ほんとにド鬱なときは、本とかネットとかドラマとか、そういうものに逃避して集中してます。
そういうときは、人と話したくないし、
外にも出たくないし、
治療機関にも行きたくないし、
治療者に話すことも思いつかないし。
ぼそっと池井多 そうやってガッツリひきこもってる最中に、例えば
「買い物困ってるでしょ! ヘルプ必要ですか?」
って支援の人が来たりするのはどうですか?
瀬戸 嫌です!
それだったら本当に、何とかして自分で行く方がマシです。
それかネットスーパー…
でもネットスーパーも本当は嫌なんです、
配達の人が来ちゃうから。
ぼそっと池井多 よくひきこもり支援団体だなんて言って、
どんどんひきこもりを訪問したり、
ひどい所になると、ひきこもりを引っ張り出して
就労させようとする団体までいるようですけど、
そういうのはどうですか。
瀬戸 そういう事を、もしあたしがされたとしたら、
逃れるために死ぬしかない
って思います、本気で。
この人たちから逃れるためには、
もう死ぬしかないだろうって。
ぼそっと池井多 そんな支援をされるくらいなら、
死を選ぶ、ということですか。
瀬戸 そうです。