ひきポス -ひきこもりとは何か。当事者達の声を発信-

『ひきポス』は、ひきこもり当事者、経験者の声を発信する情報発信メディア。ひきこもりや、生きづらさ問題を当事者目線で取り上げます。当事者、経験者、ご家族、支援者の方々へ、生きるヒントになるような記事をお届けしていきます。

ひきこもり

私が引きこもっているとき親にどうしてほしかったか 「わからない」をこなすためのネガティブケイパビリティ

(文 喜久井伸哉) 「子どものことがわからない」とき、親はどうすればいいのでしょうか。今回は不登校とひきこもりの経験者が、「親にしてほしかったこと」を伝えます。 「寄り添う」だけでいいのか 子どもが引きこもっているとき、多くの親は、どうしたらい…

「子どものことがわからない」理由は〇〇にある わたしが親にしてほしかったこと

(文 喜久井伸哉) 「子どものことがわからない」とき、親はどうすればいいのでしょうか。今回は不登校とひきこもりの経験者が、「親にしてほしかったこと」を伝えます。 そもそも「わかる」ことが不思議 「子どものことがわからない」という親御さんの声が…

履歴書に空白期間があっても 井口(仮)さん当事者手記 第3回

社会参加はしたいが、自分が社会参加をすると周囲に迷惑が掛かる、だから今まで社会参加しなかった。迷惑が掛かるから自分が社会参加しないことは、社会的にも倫理的にも正しいし、そういう状況を社会に強いられている。でも社会参加したい。そして「生活」…

「ひきこもり」の定義を再考する 井口(仮)さん当事者手記 第2回

これまでの「ひきこもり」の定義には、当事者の主体性と経済面が表現されていないことが僕にとって不満だった。そこで僕は新しい「ひきこもり」の定義を作ってみた。

《ひきこもり本》大賞2023! 最新「ひきこもり」ブックガイド19冊+1

(文 喜久井伸哉) 今回は、近年発表された〈ひきこもり〉に関する本19冊をご紹介します。ベストセラーになったエンタメ小説から、時間をかけて作られたマニアックな論文まで。最新の「ひきこもり」ブックガイドです。 《一般書》 ひきこもりの真実 「ひきこ…

「ひきこもり」という概念に大きな可能性を感じる 井口(仮)さん当事者手記 第1回

新連載第1回。ひきこもり支援機関で受けた対応に疑問を持ち、改めて「ひきこもりとは何か」を考えた筆者が自らの体験談をもとにひきこもりに大きな可能性を切り拓く。

「暗い支援」がほしい

文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay 「明るい」支援者はお断り?今回は、ひきこもり経験者が語るユニークな〈支援論〉をお届けします。 世の中の「明るさ」がこわい 私は半分本気でいうが、就労支援所は葬儀社をモデルにしてほしい。 今の世の中は、「明るさ」が…

社会人は〈雑談〉が9割……でも私に欠けていたものは他にあった

(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 社会人は〈雑談〉が9割 〈雑談〉さえうまくできれば、どんな社会でも生きていけると思う。 私は筋金入りの「不登校」だが、大人になった今、必要だと思うのは「学力」よりも「雑談力」だ。 世の中で働く多くの人にとって…

未来は過去にある ~私がガチこもりから外へ出られたきっかけ~

「つねに先々のことを考えよう」 「いつも次の一手を用意しておかなくてはいけない」 と考えていたら、どうにもこうにも外へ出ていけなくなった。泥沼の深い底から抜け出すには、まず未来志向を捨てなくてはならなかった。……

【観劇レビュー】俳優座の「演劇8050」はひきこもりと向き合う重要なヒントを(半分だけ)とらえた

今回は、劇団俳優座の舞台『猫、獅子になる』のレビューをお届けします。作品の主役は、中学の頃のトラウマをきっかけに、長年自室に引きこもっている50歳の女性。「ひきこもり」の物語を、「ひきこもり」の経験者が読み解きます。 ※公演初日の11月4日の回を…

職場の人とうまく〈雑談〉ができたとき、私ははじめて「人間になれた」と思えた

(文 喜久井伸哉) もし私の「ひきこもり」にゴールがあるとしたら、「職場で雑談ができたとき」だ。 「就労」ではない。 「ひきこもり支援」では、よく「就労」がゴールのように言われている。 外で働いて、自分のお金を稼ぐという点では、たしかに「社会的ひ…

ギャンブルでも人生でも、「もしかしたら」という悪性の希望が身を滅ぼす

(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 人がギャンブルにハマるのは、「うまくいく」からではない。 「うまくいくかもしれない」からだ。 ボロボロに負けても、「次はうまくいくかもしれない」と思えるせいで、欲望が立ち切れなくなる。 ゲームの勝敗にしても、…

わたしが「生きづらさ」を感じるのは、人生から〈グレーゾーン〉がなくなったとき

(文 喜久井伸哉) 私が「生きづらさ」を感じるのは、人生の「グレーゾーン」が少ないときだ。 「学校に行くか行かないか」、「就職するかしないか」、「結婚しているかしていないか」。 はっきりした「白か黒か」の状態しか許されず、中間の選択肢がないと…

不登校もひきこもりも、自分で選んだ人生ではありませんでした

私は、自分で選んでいないものによって批判されてきた。 「不登校」がそうだった。「ひきこもり」がそうだった。「ゲイ」がそうだった。 どれも自分では選んでいないが、私は「不登校」として育ち、「ひきこもり」として過ごし、「ゲイ」として生きてきた。 …

【音楽】おうちで熱唱!最新〈ひきこもりソング〉傑作選! 有名バンドのあの曲から誰も知らない迷曲まで

(編集 喜久井伸哉) 今回は、知られざる〈ひきこもりソング〉の世界を特集!「おうち」タイムを歌ったキュートな一曲から、シリアスに叫ぶK‐POPまで。深刻になりがちな「ひきこもり」の話題を、最新の音楽で吹き飛ばします。 No.1 Haze 『引きこもりロック…

日本には世界で唯一の「孤独担当相」がある!……それで、いったい何をしているの?

(文 喜久井伸哉) 日本には、世界で唯一の「孤独担当相」のポストがある。2021年の3月に大臣が任命され、「孤独」の問題にあたっている。だが、どこか冗談のような役職であり、知名度もいま一つだ。いったいどのような取り組みをしているのか?今回は、「孤…

ホームレスなのに女性から告白される!  中年ひきこもり当事者子守鳩さんの手記 第13回

若い頃は毎週のように合コンや恋活、婚活パーティーに足を運んでいたけど、それまでの人生で一度も女性とつきあえなかった。ところが、ホームレスの中年という最もモテなさそうな自分の前に、一人の女性が現われた……

農場から脱出、シェアハウスの居候に  中年ひきこもり当事者子守鳩さんの手記 第12回

「無料の宿泊施設がある」……そんな歌い文句に誘われて、住む家をなくした「私」はその農場を訪れた。そこで働きながら住むつもりであった。ところが宿泊施設が無料であるわけが次第にわかってきた。そこは……

こころの産毛を擦り切らせないように 追悼・中井久夫

(文・喜久井伸哉) 2022年8月8日、中井久夫氏が亡くなられた。88歳だった。 私は一読者に過ぎず、面識もないが、この場を中井氏の記念とさせていただきたい。 私はライターとして、何度か著名人への取材をしている。 仕事を始めたとき、願わくば取材したい…

「引きこもる子ども」を殺す親たち アンチ援助希求の心理

『「命を救ってやったのは、2度目だぜ」 「まあね。ツケにしといて」』(映画『ゴースト・オブ・マーズ』) 子供をひきこもりにする方法 ひきこもりは、社会に損失を計上する存在と見なされている。日本国内の被害規模は、おそらく漫画の実写映画化をしのぐ…

弱者に「与える」方策よりも、弱者から「与えられる」方策へ アンチ援助希求の心理

傲慢な支援者が現れて、「お前に救いを与えてやろう」という態度だったなら、私は〈支援〉お断りである。「与える」もの自体はまだしも、一方的に「与える」関係性を受け取りたくない。「ひきこもりに与える」方策より、むしろ「ひきこもりが与える」方策は…

「何者かにならなくてはならない」……その重圧と強迫とのつきあい方を考える

何者かにならなくてはいけない。このままでは何者にもなれないんじゃないか。……多くのひきこもりを悩ませるこの自問は、世界の若者に共通である。英語では Somebody と Nobody という。 私たちはこのナニモノ問題とどう格闘していけばよいのだろうか。

お金は儲かっても返済を繰り返す日々  自転車操業の地獄を見た  中年ひきこもり当事者 子守鳩さんの手記 第11回

クレカを作ったのが運の尽き、たしかに売り上げも利益も倍増できたが、さまざまなものをカード払いにしていくので、お金を使っては稼ぎ、使っては稼ぎ、という自転車操業になってしまった。 始めたころは楽しかったのに、いつの間にか借金を返すために追い立…

「今のままでいい」という当事者の声を尊重してほしい ~江戸川区ひきこもり実態調査がもたらした今後の課題~ 第3回

「何も必要ない、今のままで良い」 およそ3分の1の当事者がそう答えた。ところが、そのニュースが流れた直後、ひきこもりの「専門家」が出てきて「これは本音ではない」と「解説」した。 当事者の声はいったいどのように行政に伝えられるのだろうか。

マイノリティとしての男性ひきこもり ~江戸川区ひきこもり実態調査がもたらした今後の課題~ 第2回

東京・江戸川区のひきこもり実態調査では「女性の方が多い」という結果が大々的に報道された。しかし配偶者やパートナーのいない独身者で比較すると、また別の割合が出てくる可能性がある。

調査目的ならばアウトリーチは良いのか ~江戸川区ひきこもり実態調査がもたらした今後の課題~ 第1回

「顔の見える大調査」「調査を通じてつながる」……ひきこもりの専門家が絶賛する。 しかし「顔が見える」のも「つながる」のも、ひきこもり当事者からすればやめてほしいことである。ましてやアウトリーチともなれば……

私は「孤独依存症」だった 〈独り〉の乱用が止められないとき、人はひきこもりを苦しむ

KIKUI Shinya 2022 / Photo by Pixabay 会話が知性の催淫剤であるように、孤独は精神の催淫剤だ(シオラン) 私は〈孤独依存症〉であった。この病名は一般に知られていない。なぜなら私がさっき適当に思いついた造語だからだ。 アルコール依存症やギャンブル…

絶頂から転落へ  中年ひきこもり当事者 子守鳩さんの手記 第10回

儲かる仕事を見つけて、私は絶頂期を迎えた。こうして儲かったお金を何に投資するのがよいか。答えは「自分」だろうと考えた。そこで片っ端から自分への投資にお金をつぎこんでいった。 ところが、その先に私を待っていたものは転落だったのである。……

私が『ひきこもり』の写真を撮るとしたら、そこに写っているのはあなたの顔」

(文 キクイ シンヤ/ Photo by Pixabay) ※記事の一部に性的な表現を含んでいます。ご了承ください。 ひきこもりを表す写真とは もし「ひきこもり」を写真で表すとしたら、どんな一枚になるだろうか? 参考として、世間の「ひきこもり」のイメージ画像を見て…

「学生時代を失う」ことの本当の意味を誰もわかっていない 10年のひきこもり経験者だから語れる〈コロナ禍〉の悲劇

コロナ禍によって、子供たちの学校生活は一変しました。「修学旅行に行けなかった」、「部活の大会が中止になった」など、多くの声が上がっています。しかし不登校・ひきこもり経験者のキクイさんは、「本当に失われたもの」は他にあると主張。本当の「喪失…