(文・湊うさみん)
ひきこもりを差別しないで!偏見の目で見ないでください!
……そう言われたから「よし、差別するのはやめよう」「偏見を改めることにしよう」という人はいませんね。
どうすればひきこもりへの偏見がなくなるのか。それはテレビなどのメディアによって形成されたイメージを崩すことだと考えます。
ひきこもりは暗い部屋で体育座りなんてしていません。ちゃんと電気くらいつけます。
ひきこもりの本当の姿を知ってもらうことによって、「犯罪者予備軍なんかじゃなく、悩んだり苦しんだりしている一人の人間なんだ」と思っていただけるのではないでしょうか。
この記事では一般の方々がひきこもりに対して抱いている疑問に答えていこうと思います。
ひきこもりはなまけものでしょ?なんで働かないの?
確かになまけているひきこもりはいます。生活保護をもらって「真面目に働いてられるか」と考え、毎日だらだらしている人がいることも事実です。
しかし、そういったひきこもりは少数派で、大多数のひきこもりは「働けない自分が情けない」「普通になりたい」「自分はクズだ」といった気持ちを抱いて、毎日苦しみながら生活しています。
働いていないから体は楽です。それは事実です。ですが、自分で自分の食い扶持を稼げないコンプレックスってものすごく大きいんです。そのコンプレックスのせいで、精神的にはまったく楽ではありません。
普通に働けないなら障がい者雇用を使えばいいのでは?
実際に障がい者枠で働いたひきこもりを何人も知っています。しかし、労働基準法を守らない会社が多い世の中では、障がい者が働くには厳しい環境となっています。
うまくいい会社に入ることができ、定着したひきこもりもいます。ですがほとんどのひきこもりは、余裕のない会社になじむことができません。
そもそも、働く意思があっても履歴書が空白なので雇ってもらえないこともしばしばです。
それなら週2くらいの簡単なバイトくらいすればいいのでは?
実は、何らかのかたちで働いているひきこもりは多いのです。
上にあるような週2くらいのバイトをやったり、内職をやったり、ネットでちょこっと稼いでみたり。私の例で言えば、ライターの真似事をして少しの収入を得ています。
また、身近な人を手伝ってお駄賃をもらっている人もいます。きちんとした労働の形ではありませんし、生活費には足りませんが、自分で稼ごうという意思はあります。
そもそも、なんで普通に働くことができないの?
日本の職場はバイトであっても遅刻や欠席に対して厳格で、働く当日になっていきなり「休みます」ではクビになってしまいます。
しかし、当日になってみないと働けるかどうかわからない人がいます。
私のケースで言うと、うつ病のため体調の悪い日は歯を磨くこともできず寝たきりになります。調子のいいときはお出かけすることもできるし、働きたいと思うのですが、当日にならないと体調がわからないのです。
そのほか、パニック障害で乗り物に乗れない人や、吃音がひどくて人と話すのが怖い人、人の視線が怖くて外出すらできない人、睡眠障害がひどくて薬を飲んでも二日間眠れない人など、働けない理由は様々です。
社会に適応できない→社会に憎しみを持ち川崎殺傷のような事件を起こすことに繋がらない?
自分が悪いのではなく、社会が悪いと考え、犯罪行為を考える人はいます。
しかし、思うことと実行することには雲泥の差があります。
世の中のすべての人間はよからぬことを考えますが、実行に移す人はごく少数です。私自身も、テレビで生放送されている前で発砲自殺しようと考えたことはありますが、普通に生きています。拳銃も手に入れてません。
これを読んでるあなたも、おかしなことを考えたことがあるはずです。人間には悪の心があり、それを押しとどめる理性があります。
ひきこもりは全国で100万人規模で存在するとされています。その中の一人が事件を起こしたからといって、他のひきこもりも同じように危険人物だとは言えないのではないでしょうか。99%以上の人が今まで事件を起こしていないという事実がありますから。
執筆者 湊うさみん
20代でドロップアウトして自殺未遂。ニート歴10年以上のエリートニートになっちゃいました。
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