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『ひきポス』は、ひきこもり当事者、経験者の声を発信する情報発信メディア。ひきこもりや、生きづらさ問題を当事者目線で取り上げます。当事者、経験者、ご家族、支援者の方々へ、生きるヒントになるような記事をお届けしていきます。

大人が通えるフリースクール?〈シューレ大学〉のご案内

今回は、東京都内にある〈シューレ大学〉を紹介。ひきこもりや不登校の経験者も多く通っているという、ユニークな場所です。活動の一端をご案内します。

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シューレ大学について

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 シューレ大学は、東京都新宿区にある学びの場です。「大学」といっても、NPO法人のため、大卒の資格がとれるわけではありません。学歴・資格のための勉強よりも、「自分の生き方を創る」ことを大切にしている学校です。

 シューレ大学は、フリースクールの「東京シューレ」を母体として、1999年に作られました。今年で設立20周年になります。現在は、若者を中心に30人ほどが在籍。学生主体による運営をおこなっています。

 

シューレ大学の一年

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 シューレ大学の1年は、4月から9月までの前期と、10月から3月までの後期に分かれる2期制をとっています。学生は、年度の始めに1年の学びの計画をたて、自分の好きな講座に参加します。半年を目安にシューレ大学のスタッフと話し合い、自分の状況をふり返り、必要があれば修正します。

 学期中の平日は、基本的に毎日開いており、さまざまな講座がおこなわれています。不登校研究などの教育に関するものから、英語や韓国語といった語学講座、また、映像や演劇といった、自己表現につながるものもあります。

 学生たちによるイベントも開催されており、映画祭や演劇公演などの場で、日々の講座の成果を発表しています。先日の2月10日には、美術講座の学生たちによる絵画展がおこなわれました。東京国立博物館の応挙館という、由緒ある場所で開催され、多くの方にご来場いただきました。

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 毎年3月には、一人一人の学生が1年をふり返る、報告会をおこなっています。自分がどのように過ごし、また、今後何をしていきたいのかを確認するための場となっています。シューレ大学には、特定の単位や学年はありません。そのため、いつ・どのようにして卒業するかも、自分の判断でおこないます。学生自身の希望があれば、シューレ大学で学びを総括して発表する、修了報告会を開き、卒業となります。

 

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自分の生き方を創る

 すでにあるものに合わせるのでなく、自分に合わせた学びを自らデザインしていくことが、シューレ大学のやり方です。講座も、始めから用意されたカリキュラムをこなすのではなく、自分たちで創り出していきます。自分が望んでいることを知ることから始まり、どうやって実現していくのかを、学生と講師で話し合い、講座を一から創り合っていきます。自分たちに合ったやり方のために、スタッフや外部の専門家などに参加してもらい、講座の内容を練ります。自分の関心を知ることが、自分の学びを創ることにつながります。

 シューレ大学の特色に、生き方創造コースがあります。この講座では、学生が自身の課題をプレゼンテーションし、ディスカッションすることで、それぞれの探求を深めていきます。その中では、家族との付き合い方や、自身のジェンダーについてなど、個人的な内容になることが多くあります。たとえば、「人とコミュニケーションがとれない」、「働くことが怖い」といった、一見研究らしからぬテーマ。ここでは「自分」を掘り下げていくことが、学問の探求になると考えられています。それらはシューレ大学独自の「自分研究」となって、自分の生き方を創りだします。

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シューレ大学内でおこなわれた研究発表会の様子

 

学生へのインタビュー

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  脊尾 花野(せお かや)さんの声

――シューレ大学に入って良かったことは?

 自分に無理をしなくても、生きていけると思えたことです。私の中には、「人と仲良くなりたい」とか、「人の中に居たい自分」がいます。だけど同時に、「人が怖い自分」とか、「人に怯えている自分」もいる。そういう思いを否定しないで、そのままの自分で居られることが、自分にとって、無理をしないでいられる状態です。
 今の自分を知り、認めていくことを応援される場なので、ここにいると勇気が出ます。やろうと思えば、自分の気持ちを見ないで、過ごすこともできはします。けれどそれを続けていると、しんどくなっていき、人との距離も遠くなってしまう。そうならずに、安心できる状態で生きていけるんだなあと思えたことが、ここに来て良かったことです。

 

入学案内

  学費について
入学金 15万円  学費:年間55万4400円(消費税込み)
※学費は2回に分けての納入が可能です。条件を満たせば、学費の減額制度も活用できます。

 入学にあたっては、学歴や資格は問いません。18歳以上の個人で、シューレ大学の主旨に賛同し、知りたいこと・表現したいことを探求したい人なら、誰でも入ることができます。なお入学にあたっては、体験入学への参加をお願いしています。

 

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体験入学のご案内

連続する5日間の間、お好きな日・時間に来て日常のシューレ大学を体験していただけます。

日時:2019年2月25日(月)~3月1日(金)
※現在は終了しましたが、このほかの期間で個別の体験入学をすることもできます。

会場:シューレ大学(都営大江戸線「若松河田」駅「若松」口 徒歩5分)
〒162-0056 東京都新宿区若松町28-27
地図→ http://shureuniv.org/access
参加費:一律 10300円

詳しくはこちらのPDFをご覧ください↓
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小学校から大学まで含め、 学校に合わなかった経験のある方、就職したけれど別の生き方を探したいと思った方、 自分の生き方や、知ること・表現することを思う存分試行錯誤できるシューレ大学に来ませんか?

どうぞお気軽にお問合せください。

お問い合わせ先:シューレ大学
TEL: 03-5155-9801
Email: univ@shure.or.jp


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 編集 喜久井ヤシン(きくい やしん)

1987年東京生まれ。8歳頃から学校へ行かなくなり、中学の3年間は同世代との交流なく過ごした。20代半ばまで、断続的な「ひきこもり」状態を経験している。2015年シューレ大学修了。『ひきポス』では当事者手記の他に、カルチャー関連の記事も執筆している。ツイッター https://twitter.com/ShinyaKikui

 

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