ひきポス -ひきこもりとは何か。当事者達の声を発信-

『ひきポス』は、ひきこもり当事者、経験者の声を発信する情報発信メディア。ひきこもりや、生きづらさ問題を当事者目線で取り上げます。当事者、経験者、ご家族、支援者の方々へ、生きるヒントになるような記事をお届けしていきます。

不登校

「不登校」の語られ方が間違っていると思う3つの理由 経験者が語る根本的な問題点

最新の調査によれば、「不登校」の小中学生は約30万人となり、統計をとりはじめて以来過去最多を記録しました。増加率は前年度比22%で、コロナ禍の緊急事態宣言以降、急増しています。新たな局面に至った「不登校」を、どのように考えればいいのでしょうか…

フランスでいじめ厳罰化 日本では今後どうなる?

フランスでは2023年9月から学校におけるいじめ行為が刑法上の罪となり、厳罰に処せられることになった。その詳細はどうなっているのか。そして日本の学校へ応用するにはどうしたらよいのか。さらに教育現場へのしわ寄せは。

【現代アート】ひきこもり経験のあるアーティスト・渡辺篤の作品を月の下で観る(東京都現代美術館『あ、共感とかじゃなくて。』展レビュー)

現在、東京都現代美術館では、『あ、共感とかじゃなくて。』展が開催中です。出品者の一人は、ひきこもり経験のあるアーティスト・渡辺篤さん。ひきこもり当事者と共同制作した作品が展示されており、観る人の心に訴えかけます。魅力はどこにあるのでしょう…

下山する決意 「休む」や「逃げる」なんて言葉では言い表せない死にものぐるいの〈家庭内ビバーク〉

(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 私には、「ひきこもり」の期間があった。優しい人からは、「休んでもいい」、とか、「逃げてもいい」、といった言葉を、言われたことがある。しかし、合計で十年に及ぶ、「ひきこもり」の期間のうち、自分が「休んでいる」…

【当事者研究】不登校は「行かない行為」ではなく「〈行く行為〉の欠損」 どのような言葉があれば「行きたいのに行けない」という語りから脱することができるか

「不登校」最終解答試論 執筆者の喜久井(きくい)さんは、不登校の経験者です。学校に「行きたいのに行けない」感覚があり、理由を聞かれても、うまく答えられませんでした。なぜ、言葉にすることができなかったのか?そして、「不登校の原因」は何だったのか…

イップスも不登校もメンタルのせいではない 「『学校に行きたいけど行けない』身体」を伝えるために

「不登校」最終解答試論(文 喜久井伸哉) 人はほんたうにいゝたいことが何だかを考へないでゐられないと思ひます。(宮沢賢治「学者アラムハラドの見た着物」) 私は「不登校」について語りたいと思います。 しかし私が記憶した「不登校」は、かつて誰から…

「不登校」とイップスの共通点 「『学校に行きたいけど行けない』身体」を語るために

「不登校」最終解答試論(文 喜久井伸哉) かつて描かれたことがない境地(残雪) 私は「不登校」の体験を語りたいと思います。 しかし、従来の言葉で私の「不登校」が伝えられるとは思えません。 「不登校」が語られるべきでない方法で語られてしまっている…

漫画『たそがれたかこ』に見る親子関係のふんばり方 わたしが悩んでいるとき親にどう接してほしかったか

今回は、2018年の漫画『たそがれたかこ』に注目。「不登校」と「ひきこもり」の経験者が、親子関係の秘訣に迫ります。 漫画『たそがれたかこ』は、親子関係の苦しさを描いた傑作です。有名とは言えませんが、私には忘れがたい名作でした。 漫画は雑誌『BE・L…

「不登校」の名称の歴史 類語・関連語小辞典 ③なぜ「登校拒否」が「不登校」になったか 関連用語リスト付き

「不登校」最終解答試論 喜久井伸哉 かつては「学校恐怖症」や「登校拒否」だった名称が、なぜ「不登校」になったのか。言葉の歴史をたどることで、現在の「不登校」論の問題点を洗い出します。(全3回 /文・喜久井伸哉) 「不登校」と名付けられるまでの歴…

私が引きこもっているとき親にどうしてほしかったか 「わからない」をこなすためのネガティブケイパビリティ

(文 喜久井伸哉) 「子どものことがわからない」とき、親はどうすればいいのでしょうか。今回は不登校とひきこもりの経験者が、「親にしてほしかったこと」を伝えます。 「寄り添う」だけでいいのか 子どもが引きこもっているとき、多くの親は、どうしたらい…

「不登校」の名称の歴史 類語・関連語小辞典 ②「登校拒否」以後

「不登校」最終解答試論 喜久井伸哉 かつては「学校恐怖症」や「登校拒否」だった名称が、なぜ「不登校」になったのか。言葉の歴史をたどることで、現在の「不登校」論の問題点を探ります。(全3回 /文・喜久井伸哉) 「不登校」の名称の歴史 類語・関連語小…

「子どものことがわからない」理由は〇〇にある わたしが親にしてほしかったこと

(文 喜久井伸哉) 「子どものことがわからない」とき、親はどうすればいいのでしょうか。今回は不登校とひきこもりの経験者が、「親にしてほしかったこと」を伝えます。 そもそも「わかる」ことが不思議 「子どものことがわからない」という親御さんの声が…

「不登校」の名称の歴史 類語・関連語小辞典 ① 欠席・学校恐怖症・学校ぎらい他

「不登校」最終解答試論 喜久井伸哉 現代の日本では、「学校に行かないこと」や「学校に行かない子ども」のことを、「不登校」と言っています。しかし私が幼少期から学校に行かなかった体験は、この言葉におさまるものではありません。「不登校」をめぐる調査…

「不登校」と吃音の共通点 「行きたいのに行けない」・「話したいのに話せない」とはどのようなことか

喜久井伸哉 「不登校」最終解答試論③ はじめに行為ありき (ゲーテ『ファウスト』) 私は幼少期に、「学校に行きたいけど行けない」身体に見舞われた。 自分の意思は「行きたい」と思っているのに、行為は「行けない」状態になる。 「行きたいけど行けない」…

「不登校」では語ることができない もし「不来校」や「スクール・マイノリティ」という名称だったなら

喜久井伸哉 「不登校」最終解答試論② おお、友よ、このような響きではない!もっと心地よい歌を、もっと歓びにあふれた歌を、歌おうではないか(ベートーヴェン「交響曲第九番」) 私はこれから、自身に起きた「不登校」のことを、語ろうと思う。 しかし、語ろ…

明治時代には学校が燃やされていた 日本の近現代史から考えると本当は「不登校」なんてどうでもいい

文 喜久井伸哉/「不登校」最終解答試論① 小中学生の「不登校」は24万件を超え、近年増加を続けています。これは一般的に「問題」と考えられていますが、歴史的に見ると、「子供が学校へ行かないこと」は珍しくありませんでした。今回は、あまり語られること…

社会人は〈雑談〉が9割……でも私に欠けていたものは他にあった

(文 喜久井伸哉 / 画像 Pixabay) 社会人は〈雑談〉が9割 〈雑談〉さえうまくできれば、どんな社会でも生きていけると思う。 私は筋金入りの「不登校」だが、大人になった今、必要だと思うのは「学力」よりも「雑談力」だ。 世の中で働く多くの人にとって…

【観劇レビュー】俳優座の「演劇8050」はひきこもりと向き合う重要なヒントを(半分だけ)とらえた

今回は、劇団俳優座の舞台『猫、獅子になる』のレビューをお届けします。作品の主役は、中学の頃のトラウマをきっかけに、長年自室に引きこもっている50歳の女性。「ひきこもり」の物語を、「ひきこもり」の経験者が読み解きます。 ※公演初日の11月4日の回を…

不登校もひきこもりも、自分で選んだ人生ではありませんでした

私は、自分で選んでいないものによって批判されてきた。 「不登校」がそうだった。「ひきこもり」がそうだった。「ゲイ」がそうだった。 どれも自分では選んでいないが、私は「不登校」として育ち、「ひきこもり」として過ごし、「ゲイ」として生きてきた。 …

こころの産毛を擦り切らせないように 追悼・中井久夫

(文・喜久井伸哉) 2022年8月8日、中井久夫氏が亡くなられた。88歳だった。 私は一読者に過ぎず、面識もないが、この場を中井氏の記念とさせていただきたい。 私はライターとして、何度か著名人への取材をしている。 仕事を始めたとき、願わくば取材したい…

「学生時代を失う」ことの本当の意味を誰もわかっていない 10年のひきこもり経験者だから語れる〈コロナ禍〉の悲劇

コロナ禍によって、子供たちの学校生活は一変しました。「修学旅行に行けなかった」、「部活の大会が中止になった」など、多くの声が上がっています。しかし不登校・ひきこもり経験者のキクイさんは、「本当に失われたもの」は他にあると主張。本当の「喪失…

ひきこもりには「きょういく」と「きょうよう」がたりない 私に〈遊び〉があることをどうか許して

「遊ばない」ためのテレビゲーム 私にとってひきこもりは、「社会からの孤立」の問題ではない。 「〈喜び〉からの孤立」の問題だ。 私は長いあいだ引きこもっていて、「自分は喜びを感じてはならない」と思っていた。 「不登校」のころからそうだ。 同級生が…

〈余命宣告を受ける衝撃〉と同じように人生の苦しさを受け入れる

自分を受け入れられない 私は、自分が良い人間になれると思っていた。 働いて、親孝行をして、恋愛や結婚をして。 本当はもっと、幸せに生きていけたはずだと思う。 しかし半生をふり返ってみると、どれもうまくいかなかった。 私は世の中から孤立して、引き…

「引きこもり」という言葉がなくなったら、少しは生きやすくなるのかな

中学二年生のとき、学校で突発性難聴の症状が出てしまって倒れたことがあった。そのときに母が迎えに来てくれたときの第一声は「お前のせいで皆勤じゃなくなった」。それから皆勤賞が憎い。学校に行くだけで賞をもらえるのなら、生きているだけでも認められ…

【1000文字小説】〈透明人間になるための学校〉で、ぼくは劣等生だった

ひきこもり経験者による、約1000文字のショートショートをお届けします。〈生きづらさ〉から生まれた小さな世界をお楽しみください。 山本朝子版画集『人と風景と、出会う』より 透明人間になるための学校で、ぼくは劣等生だった。 学校では毎日、うまく透明…

17年目の自殺

(文・写真 喜久井ヤシン) 死ぬ理由 2004年。私は17で死ぬつもりだった。 8歳でガッコウに通わなくなり、社会とのつながりは弱かった。 ほとんど一人きりで過ごしてきたため、同世代との会話経験さえ少ない。 「母親」にあたる人との関係は失敗し、同じ家に…

【当事者手記】不登校・ひきこもりがゲームをしなくなる最良の方法

不登校やひきこもりの子をもつ親にとって、テレビゲームは悩みの種です。「ゲーム脳」や「ゲーム依存」の報道を聞いて、子どもの将来を心配している人も多いでしょう。今回は、「十代のころゲーム漬けだった」という当事者が語ります。「子どもがゲームをし…

生きづらさを解体する居場所 〈TDU・雫穿大学〉のご案内と学生の声

今回は、2020年にオープンしたTDU・雫穿(てきせん)大学のご案内です。学生の豊(とよ)さんは、不登校やひきこもりを経て、雫穿大学に入学しました。「大学」といっても、フリースクールのようなNPOとして運営されているため、一般的な意味での「学歴」に…

【ひきこもりと地方】「不登校の背景には、弟や母の病気があった気がします」北海道石狩市のひきこもり経験者・のり子さんインタビュー第1回

北海道札幌の中心街から1時間、石狩市在住の女性ひきこもり経験者のり子さん。第1回は、家族のケアを担ってきた女性当事者という視点で語っていただきました。

20年前の〈ひきこもり文通雑誌〉を読んでみた 知られざる『ひきコミ』の歴史

今回は、ひきこもり当事者のために作られていた雑誌『Hiki♡Com`i(ひきコミ)』を紹介します。 『ひきコミ』は、不登校情報センターの活動から生まれた雑誌です。 サブタイトルは「不登校、ひきこもり、対人不安の人から発信する個人情報誌」。 2000年12月の…