(著・写真 ゆりな)
誰とも関わりたくない
そう思った夜は
布団の上で膝を曲げ、毛布にくるまり、
胎児に還る
四肢を広げ 悠々とこの世に存在しているのが怖いから
いつ私の腕に 足に 釘が降ってきて
標本のように打ち付けられるのか
そう思うと、
手足を縮こめられずにはいられない
私の手足の温度を布団は吸いこみ
体を1つの場所に集めたくなる衝動が私を襲う
私の身体中の血液から体温を奪っていく
"わたしを普通に引き戻そうとしないで"
これ以上 わたしを普通の枠にはめようとしないでよ
家の中から聞こえてくる言葉は
私を 無難と 一般と 大勢に 押し込め
"家"の価値観にくくりつける
もう聞きたくないと耳を塞ぎ
手の平で顔を覆い 暗闇をつくっても
私 は消えなかった
毛布を強く抱く感覚を
私は社会と共有できない
言葉はいつだって私を世界へおびき出す
私を世界の端っこに
私よりも 先はないように
私と接するのは
ただ冷たい壁であるように
狭い空間に留めて
存在していたい
心を空虚に
孤独のあるところに
わたしは一人
夜を越える
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この世界に留まることを恐れている私にとって、夜は、 自分の思考の中に落ち着く時間です。
眠れない体のまま、布団の中に入ると、「私が私でいられる時間を、寝て過ごしてしまうのはもったいない」
そう思うと眠れない。
"普通の枠の中でもがく”ことのツラさを知らない母親は、生き方で悩んでいる私を鼻で笑って
釘で打ち付けるように、私の考えを"母"と"家"に固定化します。
私の部屋の下では
椅子のローラーが動く音
足音
に気をとめ、母親が、私が今、何をしているかを判断する材料にしている………
何をしているのか見張られているように感じる私は、努めて、"一人"になろうとする
そんな日々の繰り返し。
私の感覚を私だけのものにしていたい気持ちが、 母親の価値観の中でしか生きられない今の私と
せめぎあうほど
私は孤独でいたい、と願ってしまうのです。
執筆者 ゆりな2018年2月、ひきポスと出会う。「私はなぜこんなにも苦しいのか」ひきこもり、苦しみと痛みに浸り続け、生きづらさから目を背けられなくなった。自己と社会の閒-あわい-の中で、言葉を紡いでいけたらと思っています。
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