この世の中には面白い詩がある。クレイジーな詩がある。ヤバい詩がある。
「わからない」とか「むずかしそう」とか、そんな話はどうでもいい。
人生において、読むべき詩を読むべき時に読んだ時、そこには感動がある。
今回はとにかくオススメの〈詩集〉を紹介したい。
- 1.『自選 谷川俊太郎詩集』
- 2. 最果タヒ『星がすべて』
- 3.文月悠光『わたしたちの猫』
- 4.究極Q太郎『散歩依存症』
- 5.ドキュメンタリー詩誌『詩あ』
- 6.茨木のり子訳編 『韓国現代詩選』
- 7.ハン・ガン 『引き出しに夕方をしまっておいた』
- 8.アマンダ・ゴーマン 『わたしたちの担うもの』
- 9.ジェトニル=キジナー『開かれたかご マーシャル諸島の浜辺から』
- 10.『ミャンマー証言詩集1988-2021 いくら新芽を摘んでも春は止まらない』
- 11.マフムード・ダルウィーシュ『パレスチナ詩集』
- 12.『現代イラン詩集』
- 13.『訴歌 あなたはきっと橋を渡って来てくれる』
- 14.若松英輔 『詩集 見えないものを探すために ぼくらは生まれた』
- 15.『詩 たのしいライト・ヴァース日本編』&『世界編』
1.『自選 谷川俊太郎詩集』
岩波書店 2013年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784003119211
あの青い空の波の音が聞こえるあたりに
何かとんでもないおとし物を
僕はしてきてしまったらしい(「かなしみ」)
日本現代詩最大のレジェンド。
誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない詩を書いた人だ。
2024年11月に92歳で亡くなり、その存在の大きさが再認識された。
雑誌の『現代詩手帖』では3ヶ月連続の大特集が組まれ、一時期「月刊谷川俊太郎」みたいになっていた。
『自選谷川俊太郎詩集』はデビュー作の『二十億光年の孤独』にはじまり、初期の「鳥羽」のカッコ良さ、『わらべうた』のユニークさ、そして『夜のミッキーマウス』の放送禁止用語の炸裂まで、 詩人の一生分の仕事が凝縮されている。
MORE→『長田弘詩集』(角川春樹事務所 2022年)https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784758413985
長田弘は比較的やさしい言葉で読める名作が多い。角川春樹事務所から出た本書は「にほんの詩集」シリーズの一冊で、同時刊行が『谷川俊太郎詩集』と『中島みゆき詩集』というラインナップだった。
2. 最果タヒ『星がすべて』

文藝春秋 2025年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784163920283
薔薇座
きみがあげた薔薇、あの子があげた薔薇、誰かがあげた/薔薇、人が人にあげた全ての薔薇はこの薔薇座になる。
最果タヒは、インタビューなどのメディア出演はそれなりにあるにもかかわらず、一切顔出しをせずにベストセラーを連発している詩人だ。
つまり現代詩界におけるAdoのような存在。
キレッキレのワードセンスでエモい天体をつくりあげる唯一無二のアーティストとなっている。
本書は天体をテーマに詩やエッセイの星屑をつめこんだ構成で、巻末の「詩のプラネタリウム」はテカテカの黒紙に白インクで名編を印字して星空のよう。この手ざわりと視覚効果はスマホの画面では味わえない。
最果タヒ著作のブックデザインを手がける佐々木俊の仕事も光っている。
最果タヒの詩は「好き」とか「大好き」とか「ほんとに好き」とかのワードが多く、これ以上ないほどキラキラしている。それでも浅いとあなどるなかれ。
最果タヒの詩はまばゆさで何も見えなくなるからもはや闇と同じ。
2024年刊行の『恋と誤解された夕焼け』(新潮社 2024年)も、まっしぐらな切なさで刹那(せつな)さを疾駆(しっく)させていた。
近年はエッセイ集の『ファンになる。きみへの愛にリボンをつける。』(中央公論新社 2024年)などで宝塚への「好き」を爆発させている。
MORE→ 現代詩ゲーム http://shikuhack.jp/
最果タヒの「詩のゲーム」がいっぱいできる。何を言っているのか意味不明かもしれないけれど見ればわかる。
それと今検索したら最果タヒは今月も新刊を出すらしい。多作すぎ。
3.文月悠光『わたしたちの猫』

ナナロク社 2016年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784904292709
あなたが誰かのものになっていく。
触れることもせず、
祈るように。見つめるわたし。
彼らの暮らす水槽は
あまりに澄んでいたから。(「方袖の魚」)
著者が19歳から24歳までに書きつづった「恋にまつわる詩」の作品集……と言うと若書きに思われそうだが、16歳で現代詩手帖賞受賞、18歳で中原中也賞受賞という歴代最年少記録保持者によるプロ仕様のガチ作品が並んでいる。
15歳でデビューした宇多田ヒカルやtuki. ばりに早熟な書き手で、本当はもっと知名度がないとおかしい。
去年の「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」ではプレゼンターとして小説家の川上未映子が登壇していたが、もし詩人の代表が出るなら文月悠光一択。
『わたしたちの猫』は悲恋的な作品が味わい深い。でも可憐なだけではないタフさも宿っているのが読みどころ。
出版は2016年だが、しばらく前に重版していたのでご紹介しておく。
著者のサイトが綺麗。 文月悠光オフィシャルサイト
https://fuzukiyumi.com/
詩集がいっぱい出ているナナロク社のホームページ
https://www.nanarokusha.com/entame/3854.html
MORE①→ 三角みず紀『よいひかり』(ナナロク社 2016年)https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784904292693
現代詩の才能早熟対決で文月悠光に対抗できるのは三角みず紀だけ。
自分で自分を幽閉するひとたち
(略)
このカーテンを閉めれば
風景と自分が切断されて
ますます眠りが深くなる(「カーテン」)
三角みず紀インスタグラム
https://www.instagram.com/misumimizuki/
MORE②→ 川上未映子『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社 2007年)
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784062767101
小説家として国際的に評価されているが、初期の言語遊戯は超絶的な詩そのもの。
更新は止まっているものの、こっちのオフィシャルサイトも綺麗。
川上未映子オフィシャルサイト→ https://www.mieko.jp/
4.究極Q太郎『散歩依存症』
現代書館 2024年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784768459706
どうにかしたいとあがく自分は、
かき消えたりはしないが、
そこからへだたることをする、離れることをする、
うみだす
分身。
そしてそいつを動かす。
どうやって?
…散歩。
2025年の詩集のスマッシュヒットといえばこれ。
詩集限定の本屋大賞があればたぶん獲っていた。でも大岡信賞という偉い賞をかっさらっていったので十分だろう。
毎日4時間、休みの日には10時間歩き続けたという実体験をもとに、詩行も歩く速度で進行していく。
気候変動やガザに言及する社会性が土台にありつつ、詩篇のなかに中森明菜や薬師丸ひろ子が顔を出す脱力感が見もの。
自筆のドローイングや長い「あとがき」なども付いている盛りだくさんな内容。
MORE
究極Q太郎のX /ツイッター https://x.com/Q81587908?lang=ja
早稲田あかねのX /ツイッター https://x.com/waseda_akane?lang=ja
#アルコール #不眠 #鬱 #ダメ連 #素人の乱 といったハッシュタグに反応する人は要注目。
5.ドキュメンタリー詩誌『詩あ』
バブリックブレイン 2025年創刊
www.hanmoto.com
なんとこの令和の時代に新しい紙の雑誌が生まれた。
「詩あ」というタイトルには「は?」となるが、読み方は「しーあ」でも「しゃあ」でもいいという。
毎号もれなく初心者を置き去りにしている『現代詩手帖』と違い、こちらは入門者向け。
第1号は「現代詩をはじめよう 詩の教室・講座の旅景」と題し、各地の詩誌やオンラインを含む詩の講座の情報を紹介。
第2号では「詩を投稿しよう 書き続けることへの、ひとつの扉」を特集し、現代詩の入口を案内している。
一人編集者でがんばって運営しており、刊行は「10号くらいまで」と期間を区切っている。
手にとって読むなら今のうちということだ。
MORE→『ココア共和国』オフィシャルサイト https://www.youyour.me/
『詩あ』で紹介された詩誌の一つ。こっちのタイトルにも「は?」となるが、創刊当初から独特の存在感を発揮している。
6.茨木のり子訳編 『韓国現代詩選』
亜紀書房 2022年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784750517681
人を探しています
年は はたち
背は 中ぐらい
(略)
懸賞金は
わたしの残った生涯 すべてを賭けます(洪充淑「人を探しています」)
12人の書き手の62編を収録。1990年に出た韓国詩のアンソロジーだが、近年でも新版が出たり増刷がかかったりと話題になっている。
訳者の茨木のり子も有名というか最高な詩人で、50歳をこえてから韓国語を学んで本書を完成させたあたり気がまえが違う。
K-POPならぬK-POEMの先駆で、BTSの『アリラン』を深堀りしたい人はこっちも見てほしい。
比較的読みやすい作品が多く、現代ではなかなかお目にかかれないような熱量の高さが特筆もの。
MORE→茨木のり子のすべての本
作品は「自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ」などエッジの効いた傑作ぞろい。
現代詩の最良の入口の一つ。
7.ハン・ガン 『引き出しに夕方をしまっておいた』

CUON 2022年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910214283
すきまが閉ざされたら 唇を開こう
舌が溶けたら
唇を開こう
そのときに
二度はないかもしれないそのときに(「明け方に聞いた歌」)
ハン・ガンは、2024年にノーベル文学賞を受賞した韓国の作家。
2016年に『菜食主義者』でブッカー国際賞を受賞し、先日も『別れを告げない』で全米批評家協会賞を受賞。現代文学のパウンド・フォー・パウンド(全階級横断ランキング)でナンバー1の座についている。
本書は詩集ながら188ページのボリュームがあり、訳者の斎藤真理子ときむふなの対談が解説の役割をもっており親切。
作品は言葉で思いを言い切るのではなく、ためらい、迷う苦しさが表れている。
しかし小花を咲かせる植物が力強い根や茎を持っているように、本書の底にも強靭さが宿っている。
植物への言及や社会時評的な言葉は、著者の長編小説との関係も思わせるものだ。
なお同じハン・ガンの『すべての、白いものたちの』(河出書房新社、2023年)も、本のつくりや文章が小説より詩に近い。
MORE①→ CUONの「セレクション韓・詩」
出版社のCUON(クオン)は「韓国文学ショートショート」や「韓国文学の名作」をシリーズで出している。本当にすごい。これだけのものを日本語で読めることがありがたい。
「セレクション韓・詩」はこのシリーズの紹介だけで記事を1本つくりたくなる充実のラインナップ。
代表の金承福(キム・スンボク)は1作目に出した本がノーベル文学賞受賞につながった『菜食主義者』で、金恵順(キム・ヘスン)の詩集『死の自叙伝』が出版後にドイツの国際文学賞を受賞するなど、スペシャルな慧眼を発揮している。
CUONオフィシャルサイト https://cuon.jp/book/serectionkanshi
MORE②→ 思潮社の「韓国現代詩人シリーズ」
K-BOOK振興会WEBサイト https://k-book.org/news/20160507/
こっちは古風な渋いタイプの詩。20世紀の韓国現代詩で、これまで日本語に伝わりきっていなかった韓国文学史の隙間を埋めてくれる。
なお思潮社は詩の出版社の老舗で、マンガでいえば集英社、ゲームでいえば任天堂のようなビッグな存在。
8.アマンダ・ゴーマン 『わたしたちの担うもの』

文藝春秋 2024年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784163918662
てらてらした瘡蓋、硬くもりあがった皮膚、
月影の加減によっては銀色に映えるだろう。
いうなれば、
傷跡とはわたしたちの
いちばん明るい部分だ。(「透明な」)
「2021年にバイデン大統領の就任式で詩を朗読するパフォーマンスをおこなって世界的に話題となった詩人」と言って、どれくらいの人が覚えているだろう。
アマンダ・ゴーマンはアメリカのいわゆる「Z世代」を代表する若手詩人で、本書の元になった本は全米100万部を突破したという。
SNS風のトークを取り入れたり、コロナ禍の市民の声を集積して作品化したりと、「執筆」だけでなく「編集」のセンスを見せている。
散文詩的な作品が多いためボリュームがあり、一冊の本として読み応えがある。
今はコロナよりも大統領の方が猛威を振るっているが、このようなアーティストがいるゆえに、わたしたちは希望を捨てることができなくなる。
MORE→ アマンダ・ゴーマンの演説映像
YouTube BBC News Japan https://www.youtube.com/watch?v=s1jEuIeFHO4
9.ジェトニル=キジナー『開かれたかご マーシャル諸島の浜辺から』

みすず書房 2023年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784622095897
もしかしたらわたしは
潮位差を小さくするために
詩を書いているのかもしれない
マーシャル諸島は平均海抜が低く、気候変動によって将来的に居住不可能になると言われている。
娘の微熱による体温の上昇と、気候変動の0.5度の差を重ねてとらえた作品があり、悲しく美しい。
歴史的背景も複雑で、アメリカの原水爆実験の被害を受けた地域でもある。
日本は植民地として30年にわたり南洋諸島を支配していたが、原水爆実験においては第五福竜丸のことのみが記憶され、解説者は「歴史が忘れられている」と苦渋の声をあげている。
10.『ミャンマー証言詩集1988-2021 いくら新芽を摘んでも春は止まらない』
港の人 2024年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784896294453
もう二度と迷うまい。
革命の導火線は
君、さもなくば僕。(ケーザウィン「頭蓋骨」)
現代詩とは、現代に書かれねばならなかった詩のことだ。
理不尽な弾圧に遭い、逮捕、拷問、殺人などがつづられ、「殉死した息子よ」など悲壮な作品が並ぶ。
一方で「おいしい!自宅で簡単デモクラシーの調理法」(コウコウテッ)など、ギリギリのユーモアも点在している。
現代のミャンマーの人々は国軍の支配に苦しんでいるが、その国軍の前身は日本軍特務機関によって設立されたビルマ独立軍。
詩と解説が交互にならぶ構成で、著名な詩人でもある四元庸祐が真摯な編訳の仕事を成し遂げている。
11.マフムード・ダルウィーシュ『パレスチナ詩集』
筑摩書房 2024年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480439536
墓は風でできている
おお 魂の石よ、おお われらが沈黙!
著者のマフムード・ダルウィーシュ(1941-2008)は、度重なる投獄を経ても打ちひしがれることなく活動をつづけ、国際的な詩人として高い評価を得た。
作品はかならずしも寡黙ではなく、「死んでいるわたしが好き」など饒舌さが入っている。
解説によると日本でいえば金子光晴の立ち位置を思わせるといい、自流に流されない詩風を確立した。
翻訳をおこなった四方田犬彦の営為でもある。
MORE→ 雑誌『現代詩手帖』2024年5月号「パレスチナ詩アンソロジー」特集
特筆すべきは岡真理のインタビューで、緊急性が高い時には、執筆に長い時間のかかる小説よりも詩の速さが必要、といったことが述べられている。
収録作の「技巧の講義はクソどうでもいい、私の仲間が死んでいる」(ヌール・ヒンディ)は、おそらくその切迫感がもっともよく表れた作品。
12.『現代イラン詩集』
鈴木朱里ほか編訳 土曜美術社出版販売 2009年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784812017289
奴らはお前の口の匂いを嗅ぐ
お前が「愛している」と言ってはいまいかと。
奴らはお前の心の匂いを嗅ぐ
見たこともない時代が来た、
恋人よ。(アフマド・シャームルー「この袋小路で」)
上記の詩は1979年の作品で、イランにおいてイスラーム革命が成立した年。
現代情勢につながる歴史が詩の背後に垣間見える。
日本文学に「源氏物語」や俳諧のルーツがあるように、豊穣な文化の上に現代詩が成立していることがわかる。
アッバス・キアロスタミ監督の『友だちのうちはどこ?』にインスピレーションを与えたという作品も収録されている。
MORE→雑誌『現代詩手帖』2026年2月「イラン現代詩を読む」特集
ペルシア詩の歴代の名作アンソロジーが組まれている。
ハイヤーム(1048-1131)の美麗な詩から、ハーフェズ(1390年頃没)の享楽的な詩へと展開する文学の系譜にゾクゾクさせられた。
13.『訴歌 あなたはきっと橋を渡って来てくれる』
安部正子編 皓星社 2021年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784774407418
セーラー服着て入院せし吾なれどはや五十路(いそじ)の半ばを過ぎて
訴歌=「そか」と読む。『ハンセン病文学全集』全10巻から、俳句、短歌、川柳、一行詩をテーマ別に精選したアンソロジー。
約300ページのすべてに、なみなみならぬ悲哀と怨恨がこもっている。
しかし強烈な怨念を投げつけるのではなく、あえてその入口に「あなたはきっと橋を渡って来てくれる」という辻村みつ子の口語体の詩をもってきたところに、なんとしてでも今の時代の読者に届けようとする希求が感じられる。
MORE→大江満雄編『詩集いのちの芽』(岩波書店 2024年)
ああ私は今どんな 幸福も欲しくない
遠い日のさふらん色の夕ぐれに
稚(おさな)い頬を流れて消えた
一すじの清冽な涙だけが欲しいのです。(厚木叡「涙の章」)
全国のハンセン病療養所入所者による合同詩集の復刊。岩波文庫で読める。
14.若松英輔 『詩集 見えないものを探すために ぼくらは生まれた』

亜紀書房2025
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784750518657
たましいで
密かに
つむがれた
ことばは
おのずと
未知の
誰かに
宛てられた
手紙になる(「秘密のことば」)
『小林秀雄 美しい花』などの評論でも知られる著者の詩集。
年に1冊詩集を編むことを自身との約束にしているという。
作品のなかでも言及されているとおり、詩に難しい言葉や特別な言葉など必要なく、ただ思いをつづり、読む人に届けるだけ、という思念を実践。
現代でここまでシンプルかつ清冽な言語表現は稀で、徹底している。
15.『詩 たのしいライト・ヴァース日本編』&『世界編』

河出書房新社 2025年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784309039633
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784309039640
最後は軽いもの2冊を紹介。文字通りのライト・ヴァース=軽い詩句で、本書はかつて出版されていたアンソロジーの復刊。編者は谷川俊太郎ほか。
「日本編」では阪田寛夫「ねこふんじゃった」や俳諧など、収録作品のチョイスからして軽快な感じがする。
「世界編」ではスウィフトの韻律まじりの風刺詩が見どころ。
軽いと思わせておいて実は深い、と思わせておいたところでやっぱりどこまでも軽い気がしてくる作品集。
もしかして詩が「よくわからない」のではなく、「よくわからない」ものを詩と呼んでいるのか。
いずれにしても自由だ、詩は。
MORE→『誰かと同じで素晴らしいぐらいなら誰ともちがって素晴らしくないほうが千倍かっこええやんけ』三代目魚武
ジービー 2025年
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910428505
日々の暮らしに
支障が、出るようなことが
本当にやるべきことなのさ(「本当にやるべきこと」)
ラストに紹介するのがこれでよかったのか。自分自身を讃えるために表現しつづける著者のキャリアハイ。
詩はヤバいものだってことがよくわかる。
ほかに30冊ほど紹介したい詩集があるが、きりがないのでいったんここまでにする。
お読みいただき感謝。
Photo by Pixabay
※書影はすべて「版元ドットコム」の画像を使用。
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文 喜久井伸哉(きくいしんや)
1987年生まれ。詩人・フリーライター。
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