カルチャー
今回は、「ひきこもり」経験者による現代詩をお送りします。「それは私だ」とスピーチのようにくり返す語りをお楽しみください。 「讃えられた虚礼」紙・パステル 18.2cm×25.7cm 多様性ではない それは私だそれはあなたや理念でなかったとしても私私の今日の…
私が16歳のころ、人の顔が吐瀉物(としゃぶつ)のように見えていた。人間という社会的動物の存在が、耐えがたいほどグロテスクに感じられ、表情の変化が直視できなかった。街を歩く時には、あえてメガネをはずし、おぼろげな景色を見るようにしていた時期が…
かなしき郷土よ。人人は私に情(つれ)なくして、いつも白い眼でにらんでゐた。単に私が無職であり、もしくは変人であるといふ理由をもつて、あはれな詩人を嘲辱し、わたしの背後(うしろ)から唾(つばき)をかけた。『あすこに白痴(ばか)が歩いて行く。…
連載 100年前の〈家族〉の暮らし 「若者に小説なんて読ませるな」学校が子どもから読書を取り上げていた明治~大正時代 文・喜久井伸哉 社会一般に、小説を読み、演劇を見る人は、人を堕落せしめるもので、青年にとりては、最も危険なり。(大町桂月) なん…
連載 100年前の〈家族〉の暮らし 第10回 「若者に囲碁なんてやらせるな」 ゲームやスマホよりバッシングされていた100年前の娯楽 文・喜久井伸哉 昨今はスマホやゲームのやりすぎを防ぐため、条例で制限する動きがある。しかし、50年前にはロックやファッシ…
100年前の〈家族〉の暮らし ⑧明治時代の「不登校」的モラトリアム 永井荷風作「すみだ川」の憂鬱 文・喜久井伸哉 今から130年近く前の、1898(明治31)年のこと。文部省は、東京都に尋常小学校の増設を命じた。学齢期の児童全体のうち、6分の1しか在学してい…
(文 喜久井伸哉) 前回は、小津安二郎の映画について話した。小津映画といえば、日本の巨匠たちの中でも、特に渋い(いわば地味な)作風で知られている。しかし、公開当時は大ヒットを飛ばした監督であり、1929年には、『大学は出たけれど』という作品が社…
(文 喜久井伸哉) 年表を引きながら、100年前の暮らしに思いをはせるという、酔狂なことをやっている。前回は、約100年前にコンクリート造の学校が登場したことを書いた。街なかの景色が大きく変わっていった時代だ。建物に関することでは、以下の年表の記…
(文 喜久井伸哉) 2025年は、「放送100年」だそうだ。ラジオ放送開始から、100年の節目。ふーん、と聞き流しそうになるが、あらためて考えてみると、ラジオ放送からたったの100年、という時代の流れの早さは、驚くべきことだ。「ネット開始から100年」でも…
(文:喜久井伸哉) 2025年3月12日、中島みゆきのライブアルバム『歌会 VOL.1』が発売された。『地上の星』『銀の龍の背に乗って』などのヒット曲から、近年発表された話題作を収録。今回は最新のレビューをお届けする。 中島みゆき コンサート「歌会VOL.1…
文 喜久井伸哉 詩人の茨木のり子に、「一人は賑(にぎ)やか」、という作品がある。 一人でいるのは 賑やかだ賑やかな賑やかな森だよ夢がぱちぱち はぜてくる良からぬ思いも 湧いてくるエーデルワイスも 毒の茸も (中略) 一人でいるのは賑やかだ誓って負け…
現在、東京都現代美術館では、『あ、共感とかじゃなくて。』展が開催中です。出品者の一人は、ひきこもり経験のあるアーティスト・渡辺篤さん。ひきこもり当事者と共同制作した作品が展示されており、観る人の心に訴えかけます。魅力はどこにあるのでしょう…
めちゃくちゃな形にぐちゃぐちゃな絵の具……〈現代アート〉っていったい何?なぜ「わからない」作品を作っているのか?どうして高額な値段がつくのか?今回は「わからなさ」をテーマにした〈現代アート〉入門をお届けします。 現代アートが「わからない」のは…
(文 喜久井伸哉) 今回は、近年発表された〈ひきこもり〉に関する本19冊をご紹介します。ベストセラーになったエンタメ小説から、時間をかけて作られたマニアックな論文まで。最新の「ひきこもり」ブックガイドです。 《一般書》 ひきこもりの真実 「ひきこ…
今回は、劇団俳優座の舞台『猫、獅子になる』のレビューをお届けします。作品の主役は、中学の頃のトラウマをきっかけに、長年自室に引きこもっている50歳の女性。「ひきこもり」の物語を、「ひきこもり」の経験者が読み解きます。 ※公演初日の11月4日の回を…
(編集 喜久井伸哉) 今回は、知られざる〈ひきこもりソング〉の世界を特集!「おうち」タイムを歌ったキュートな一曲から、シリアスに叫ぶK‐POPまで。深刻になりがちな「ひきこもり」の話題を、最新の音楽で吹き飛ばします。 No.1 Haze 『引きこもりロック…
もちろん僕は太陽や微笑みや、空気のようには人々に必要とされていない。でも時には汚い水たまりに遠い星が映し出されることもある。(ニコライ・ベルリンスキー) 苦しいときに勇気をくれる詩の言葉 深い絶望に打ちひしがれているときの詩の言葉 自分を見失…
(文 喜久井ヤシン) 今回は、2020年1月以降に発売された〈ひきこもり本〉14冊をご紹介します。長期間の取材をまとまた硬派な一冊から、世界の〈ひきこもり小説〉を集めたアンソロジーまで。最新の「ひきこもり」ブックガイドです。 コンビニは通える引きこ…
(文 喜久井ヤシン) 人間のみがこの世で苦しんでいるので、笑いを発明せざるを得なかった。 (ニーチェ「権力への意志」) 笑いがなければ何になるだろう、この人生は。 ——スタンダップ・コメディ。それはお笑いを基軸とした、一人舞台のエンターテインメン…
(文 喜久井ヤシン 画像 Pixabay) 中島みゆきは、これまで627曲以上※1の作詞をしてきた。 そのうち、歌詞の中に「糸」という言葉が含まれている作品は11曲※2ある。 一例をあげると、以下のような楽曲がある。 ふたつの炎が同じ速さで燃えはしない ひとつが…
今回は、斎藤環さんの『改訂版 社会的ひきこもり』を、ひきこもり当事者がレビューする。「ひきこもり」の定義を広めた歴史的な一冊は、現代の読者にどう響くのか。新たな発見に満ちた書評をお届けする。 斎藤環『改訂版 社会的ひきこもり』PHP研究所 2020年…
(文・南しらせ) 声優という職業に、私が憧れを抱く理由。それは華やかな世界の裏側で、日々戦い続ける彼らのしなやかな強さであったり、何度転んでも起き上がる姿をかっこいいと思うからだ。 私が声優ファンになったわけ 私はアニメや声優が好きだ。私にと…
今回は、詩人の最果タヒさんを特集。難しいと思われがちな〈現代詩〉の中で、最果タヒさんは多くの読者を得ている。その秘密はどこにあるのか、また現代詩の「わからなさ」はどこからくるのか。愛読者からの「読むヒント」をお届けする。 (文 喜久井ヤシン …
(文 喜久井ヤシン) 今回は、中島みゆきが2010年代に発表した曲の中から、一ファンの独断でベストソングを選定。ドラマ主題歌からCD未収録作品まで、初心者を考慮していないマニアックな楽曲紹介をお届けします。 2019年が暮れると共に、2010年代がそろそろ…
手に紙の束を持ち、表紙をめくり、並んだ文字に目をはしらせる——ただそれだけの、「読書」と呼ばれる単純なことの先に、人生を変えてしまうような衝撃と出会うことがあります。私のこれまでの人生は、一人きりで歳月を過ごす孤独なものでした。書物は時に気…
今回は〈生きづらブックガイド〉特集をお届けする。近年発売された本を中心に、うつ・ひきこもり・アダルトチルドレンなど、生きづらさを描いた8冊のオススメ本をご紹介。コミックエッセイや有名タレントの本など、比較的読みやすいものを集めました。 田中…
(編集 喜久井ヤシン) 筆者の独断と偏見で選ぶ・最新の〈生きづらマンガ大賞〉を発表!アニメ化で大注目の話題作から、誰も知らない隠れた名作まで。あまり紹介される機会のない外国の作品もご紹介。新たな一冊と出会えるマンガ特集をお届けします。 まなざ…
(編集 喜久井ヤシン) 今回は、アーティストの山本菜々子さんの作品をご紹介。山本菜々子さんは、不登校・ひきこもりの経験を経て、現在はデザインの仕事をしています。「自分」とは何か。「表現」とは何か。さまざまな痛みが描かれた作品には、社会の中で…
(編集 喜久井ヤシン) 今回は、アーティストの山本菜々子さんの作品をご紹介。山本菜々子さんは、不登校・ひきこもりの経験を経て、現在はデザインの仕事をしています。「自分」とは何か。「表現」とは何か。さまざまな痛みが描かれた作品には、社会の中で…
今回は、「ひきこもり目線」で選んだ2010年代の歌集特集 第二弾をお届けします。五七五七七のリズムにのって、歌い手の思いがこめられた言葉たち。時代を反映した〈生きづら短歌〉の世界をご案内します。→第1弾 平成の牛丼編 www.hikipos.info 砕け散った〈…